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生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

「生活保護で子だくさん」は罪なのか?
体験者だから語れる本音の解決法

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【第27回】 2015年10月23日
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生活保護利用者は、毎月、「過去最多」を更新し続けている。生活保護を必要とする人々が増加し続けている以上、致し方のない成り行きである。では、「生活保護が必要」という事情を少なくするためには、何が有効だろうか? 生活保護世帯で育った女性のインタビューを通して、考えてみたい。

「生活保護で子だくさん」は許されない?
「生活保護の子が大学」は高望み?

生活保護世帯で育った女性は、あえて生活保護を受ける人々に対して苦言を呈す

 10年来の友人であるエツコさん(仮名・40歳)は、10代後半の約3年半、家族とともに生活保護を利用していた。

 エツコさんと私は、生活保護利用者に対する見方では、意見が合わないことも多い。たとえばエツコさんは、

 「このごろ、『生活保護のリアル』で、子だくさんの生活保護家庭を、よく取り上げてるでしょ? でもさ、たくさん産むからいけないんじゃないの? 立て続けに生まれてるとき、医者が『おかしい』と思って強制的に避妊リング入れるくらいのことは、すべきなんじゃないの?」

 と言う。私は返答に詰まってしまう。1996年、優生保護法が母体保護法へと改正されて以後、医師の判断により強制的に不妊・断種手術を行うことは許されていない。それに、親には生まれた子どもを養育する義務もある。自分の経済力だけで養育できない場合、生活保護を利用して悪い理由があるだろうか?

 「生活保護に頼らないで暮らして子だくさんだった人が、何かの事情でどうにもならなくなって生活保護なら、しかたないと思うよ。でも、生活保護なのに子どもをたくさん作るのは、どうもね」

 エツコさんのその主張を、私は理解できない。2012年、京都府宇治市で、生活保護利用者に対し、

 「前夫・内縁の夫・異性の友人や知人などと生活を伴にしないことを誓います。保護受給中の妊娠・出産については母子世帯・夫婦世帯に関わらず相手にしっかりと話をしたうえで相手に経済的・精神的な責任をとってもらい、生活保護に頼ることなく養育することを誓います」

 という文言を含む「誓約書」を提出させたことが問題となった(誓約書全文)。行政は、各家庭の「家族計画」に干渉すべきではないし、生まれた子どもに罪はない。

 さらにエツコさんは、生活保護世帯の子どもが高等教育を受けたがることに対しても厳しい。

 「どうしても大学で学びたいなら、方法はあるでしょう? 学生支援機構の奨学金とか、新聞奨学生になるとか。私、その高校生たちに聞きたいよ。『今、家にお金がないのは、あなたのせいじゃない。でも、お金がないのに大学行かなくちゃいけない理由はあるの? 大学行かなかったら、就けない仕事はあるの? 夢とか希望とか言う前に、生きるために稼ぐのが先で当たり前じゃないの?』って」

 私はふだん、原則として友人は取材対象にしない。でも、生活保護を経験したエツコさんが、現在の生活保護利用者に対して厳しくなる理由は理解したい。生活保護制度の現在の「煮詰まり」を解決するヒントも得られそうだ。そこで、10年来の友人に、改めてインタビューをお願いした。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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