維新を猛攻撃する橋下徹の「正論」は
どこまで伝わっているのか?
「維新」の内紛が止まらない。
10月24日、党執行部が出席せぬまま、除名されたはずのいわゆる「大阪派」議員たちと彼らを支持する党員たちなどによって臨時党大会が開催され、維新の党の新代表に馬場伸幸衆議院議員を選出した上で,「解党」が決議された。一方、現執行部はこの大会は無効と主張。お互いに法的措置も言及する泥沼試合と化した。この分裂劇が始まったのは、つい2ヵ月前である。
8月27日、橋下徹氏は突如維新の党から離党しながらも、「党を割るつもりはない。大阪ダブル選挙に集中する」と明言していた。にもかかわらず、一転して新党の設立を宣言。その後、次第に自らが設立したはずの維新の党に対する批判のトーンをヒートアップさせていった。
その後、政党交付金を分ける「分党」の形をとるか否か、また「維新」の看板を新党に返上するか否かをめぐって論争となり、10月14日、ついに党執行部は、片山虎之助参議院議員、東徹参議院議員、馬場伸幸衆議院議員の3名及び大阪府総支部所属の国会議員9名を除名処分とし、大阪維新の会の地域政党としての指定を解除した上で、大阪府総支部所属の市長・府市町議会議員153名を除名処分とした。
これが火に油を注ぎ、除名された議員らは「そもそも松野頼久代表の任期は9月末までであり、10月1日以降の決定は無効だ」として、臨時党大会の開催を要求。泥沼化する争いの中で、ついに橋下徹氏は「維新の党は解党するしかない」との考えを示した。
正直、この内紛劇を傍目で見ている有権者の中には、「いったい何が起きているのかさっぱり理解できない」という方が多いのではないだろうか。
安保法制をめぐって「野党再編」の流れが醸成されるなか、ダブル選挙を前に「維新純化」を志向する「大阪派」が反発した、という構図はわかるが、ダブル選挙を前にここまで激しい内紛劇を展開する必要が、どこにあったのか。
お互いに自らの言い分を「正論」として理屈を展開しているが、その「正論」はどこまで人々に伝わっているだろうか。その答えは、今回の内紛劇の帰結によって明らかになるのだろう。
ただ、今回も筆者が興味深く観察しているのは、当初は「無茶な言い分」としか思えないような主張を展開するものの、いつの間にか聞いている側に説得力を感じさせてしまうという、橋下氏独特の「伝え方の妙」である。