iPadは日本でも一大旋風を巻き起こすだろう。それはライフスタイルやビジネスを一変する、革命だからだ。Mac、iPod、iPhoneそしてiPadと、アップルはデザインとビジネスモデルで、常に時代の先端に立つ。それがスティーブ・ジョブズというカリスマ経営者の哲学である。その不思議な魅力に惚れ込んだiモードの生みの親・夏野剛氏へのインタビューを、週刊ダイヤモンド5月15日号(10日発売)のアップル大特集から特別公開する。
(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 清水量介)

iPadは触るだけで気持ちがいい

iモードの生みの親・夏野剛 「iPadに惚れる」なつの・たけし/東京ガスなどを経て1997年NTTドコモ入社。「iモード」や「おサイフケータイ」などの立ち上げ、普及に尽力した。2008年にドコモを退社。以降、慶應義塾大学で教鞭を執り、ドワンゴなど多数の企業の取締役を兼任。
Photo by Masato Kato

 いよいよiPadが日本でも発売されると、大騒ぎになっているけれど、何を隠そう、僕はずっとアップルの大ファン。

 どれくらい好きかっていうと、買ったばかりのMacBook Air(アップル製の超薄型ノートパソコン)を、わざわざ2ヵ月ほど輪島塗の工房に預けて、加工してもらったほど(下の写真)。ほら見て、ちゃんとリンゴのマークの装飾もある。

 もちろんパソコンは以前からずっとMac(アップル製パソコンの総称)だったんだけど、NTTドコモにいた10年間だけは、会社のパソコンのOS(オペレーティングシステム)がWindowsだったから、仕方なく自宅でもWindowsマシンを使ってた。

 だから、ドコモを辞めたらすぐにMacが欲しくてしようがなかった。それで買ったのが、このMacBook Airだったんだ。

 さて、いよいよ上陸するiPadだけど、これはもう、絶対に買い。

 iPhoneの画面でインターネットを見るのはしんどかったけど、この大きさなら十分。 

iモードの生みの親・夏野剛 「iPadに惚れる」

  寝転がったり、ソファに座ったりしてブラウジングするのにぴったり。電子書籍などの新しいサービスももちろん楽しみだけど、iPadはメールやインターネットを見るといった基本的な機能だけのために買ったとしても、十分に魅力的だと思う。

 「iPhone以上、ノートパソコン未満」という領域には、歴史的にいろんな製品が登場したけれど、全部不発だった。いざ使ってみると、「これならノートパソコンで十分」と思ってしまう製品ばかり。でも、iPadは初めて「これは使いたい」と思える端末だ。

 もちろん、魅力は画面の大きさだけじゃない。

 このすばらしさを根本的に理解するためには、アップルの、もっといえば、スティーブ・ジョブズの製品に対するこだわり、経営哲学について知ることが早道だろう。