
「ランチに何を食べよう」「今日は何を着よう」現代人は、1日にいくつもの選択を迫られ、知らず知らずのうちに脳と心をすり減らしてる。しかし、心配ご無用。少しの工夫で「決断の疲れ」を減らし、もっとスムーズに物事を選べるようになる方法があるからだ。脳科学や心理学の研究をもとにした、決断上手になる選択術とは?※本稿は、堀田秀吾『決めることに疲れない 最新科学が教える「決断疲れ」をなくす習慣』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。
考える時間がたくさんあると
かえって間違った選択をしてしまう
まず、自分にとって正しい判断をするために、すぐに取り入れられる方法をご紹介しましょう。まずは“決めるまでに時間をかけない”ということです。
オランダ・アムステルダム大学のダイクスターハウス(編集部注/アルバート・ダイクスターハウス。心理学者)らは、考えすぎないことが大事だということを示す、次のような実験を行っています。
実験では、被験者に4台のタイプの異なる中古車について説明を行います。4台のうち1台だけは明らかにお買い得だとわかる車を混ぜました。
被験者を次の2つのグループに分けます。
グループA:考える時間をたっぷり与える
グループB:パズルをさせることで、意図的に考える時間を与えない
グループB:パズルをさせることで、意図的に考える時間を与えない
まず双方のグループに、難しい説明をせずに選んでもらったところ、グループ間でお買い得の車を選ぶ割合に、差はありませんでした。
次に、燃費やトランクのサイズといった細かい部分も含めて複雑な説明をし、再度選んでくださいと指示をしました。
すると、グループAは、お買い得の中古車を選んだ人が25%以下に減ってしまったというのです。4台の中から当てずっぽうに選ぶことと変わらない確率にまで下がってしまったわけです。