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トンデモ人事部が会社を壊す

社員を教育したければ社長自ら教育研修を受けよ

山口 博
【第34回】 2015年12月1日
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検討に時間がかかり、他社の例ばかり気にする…
ダメ企業の典型例

 社員の能力開発プログラムを企業向けに実施していると、業績を伸展させている企業と、そうでない企業とで、対応に顕著な違いがあることがわかってきた。

 結論から先に申し上げよう。「実施するかどうかを決定することに時間がかかる」、「細部まで検討や検証をしないと実施しない」、「話法や事例を取り込むにあたって、全ての部門からヒアリングしないと、プログラム内容が決まらない」、「他のどの企業で実施しているか、クライアントリストをまず確認する」、「価格を先に聞く」といった傾向は、業績が伸展していない企業が能力開発プログラムを検討する際によく見られるものだ。

社長みずからが能力開発プログラムに積極参加する気概を持っているような会社は、業績も伸びている。逆に、形式にばかりこだわったり、上層部が「社員を教育してやる」ことに固執する会社は伸びない会社の典型例だ

 こうした企業は、能力開発プログラムを実施するかどうかを検討している間の時間の損失に思いが至らない。まずは実施して修正しながらプログラムを合致させていくという発想を持てないのだ。

 また、全員一致に固執し、異論を持たれることに過度に敏感である。さらに、自社の判断に自信がないから、他でやっているかどうかが決定要素となる。そして、プログラム内容よりもコストが気になるといった状況に陥っている。

 一方、業績を伸展させている企業が、能力開発プログラムを導入する際の行動はどうだろうか。実は、非常に業績を伸ばしている企業ではしばしば、経営者自らが、そのプログラムに一参加者として参加する傾向がある。

 こう申し上げると、「経営者の多忙な時間を、プログラムへの参加に費やすことこそ損失だ」、「能力開発部門に権限移譲できていない悪しき事例でしょう」、「それは、ベンチャー企業の話ではないか」、「そもそも、そんな企業があるのか?」という反論をお持ちの方もいるに違いない。

 こうした反論を持ちの方に、ここ数ヵ月内の実例をご紹介したい。

 ある東証一部上場企業のM社長は、2時間の能力開発プログラムの全てに、一参加者として率先して参加した。そして、その企業は主たるサービスの取り扱い件数を前期比40%伸展させている。

 別の事例では、ある都道府県庁の部門の幹部の方々の能力開発プログラムに、中央省庁から出向しているキャリア課長が、一参加者として全プログラムに自ら希望して参加した。その部門は次々と革新的な取り組み行い、成果を挙げている。また、ある官民統合企業の能力開発プログラムでは、能力開発部門のヘッドが、率先して演習事例を提供したり、良い例、悪い例のモデルを披露したりしている。同企業は、飛躍的に業績を伸ばしている。

 上場企業でも、役所でも、業績伸展させたり、改革を進めさせたりすることができている組織は、その組織のトップが率先して、能力開発プログラムに参加しているのである。

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山口 博

やまぐち・ひろし/慶應義塾大学法学部政治学科卒(サンパウロ大学法学部留学)、長野県上田市出身。国内大手保険会社課長、外資系金融保険会社トレーニング・シニア・マネジャー、外資系IT人材開発部長、外資系企業数社の人事部長、人事本部長歴任後、現在、コンサルティング会社のディレクター。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日本ナレッジ・マネジメント学会会員。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。

 


トンデモ人事部が会社を壊す

サラリーマンの会社人生のカギを握る人事部。しかし近年、人事部軽視の風潮が広まった結果、トンデモ人事部が続々と誕生している。あっと驚く事例をひもときながら、トンデモ人事部の特徴や、経営陣がすべき対処法などを探っていく。

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