ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

超ヘタな英語でも海外で活躍できる人の仕事術

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第39回】 2015年12月9日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

「ノープロブレムね!」
アヤしいチャンポン英語で活躍するA氏

 本連載「黒い心理学」では、ビジネスパーソンを蝕む「心のダークサイド」がいかにブラックな職場をつくり上げていくか、心理学の研究をベースに解説している。今回はダークサイドというよりは、ブライト(明るい)サイドの話だ。だがそれは、多くの日本人が無意識に持っているダークサイドを炙り出す。

高校生レベルの語彙力でも、堂々とビジネスマンとして渡り合って行ける外国は、実はたくさんある

 筆者の住んでいるマレーシアには多くの日本人が住んでおり、日本資本ではなく、現地あるいは別の国の資本の会社で働く日本人も多い。筆者は、ここ1年ほど、そういった日本的ビジネスの外で活躍している日本人を少しずつ取材している。

 先日は、現地の出版社で敏腕営業として働く日本人男性Aさん(60歳)の話を聞くことができたのだが、正直びっくりした。

 英語がヘタなのだ。例えば、出版物のデザイン担当で、中華系マレーシア人のチュウさんとの会話は以下のような感じだ。

Aさん「チューさんね、ディス、サンプルね、モア イエローカラーね。モア、イエローカラー」

Aさん「アンドね、チューさん。アド(アドバタイズメント)、スペースね、スリータイムズ(3倍)ね。ノット トゥタイムズ(2倍)、バットスリーね」

チュウさん「Mr.A, Sorry, I can't do it. It has already fixed, if it is three times, I need to start everything again. It takes time. (Aさん、すまないけどできないよ。もうそれで決めちゃったから。3倍のスペースにするなら、全部イチからやり直さなくちゃならないんだ。時間かかるんだよ)」

Aさん「ノー プロブレムね。ユーキャンドゥイットね。ユーアーエクセレント、ソー、ユーキャン」

 そういいながら笑顔でチュウさんの肩を叩いて、自分の机に戻り、鳴っていた電話を取ると取引先と話を始めてしまった。チュウさん、やれやれという様子でため息をつくと、Aさんに言われた通りにデザインの修正を始めた。

 そのAさんは、取引先との電話でも、こんな感じだ。

 「あー、プライスね。プライス オブ アドね。ディペンディング オン サイズね」

 「名前?あー、私の名前ね。マイネーム イズ A。エイ、オー……(スペリングを話す)」

 「オーケーオーケー、アイ センド メールね。プライス ゼアね」

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

この連載の趣旨は、ビジネスマンのあなたが陥っている「ブラック」な状況から抜け出すための「心」を獲得するために、必要な知識と考え方を紹介することにある。社員を疲弊させる企業が台頭する日本社会では、「勝てない組織」が増えていく。実はその背景には、マクロ面から見た場合の制度的な理由がある一方、日本人の持つ国民性や心理もまた、重要な要因として存在する。そうした深いリサーチが、これまで企業社会の中でなされてきただろうか。本連載では、毎回世間で流行っているモノ、コト、現象、ニュースなどを題材として取り上げ、筆者が研究する「ニューロビジネス」的な思考をベースに、主に心理学や脳科学の視点から、その課題を論じていく。あなたは組織の「黒い心理学」を、解き明かすことができるか。

「ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹」

⇒バックナンバー一覧