3万部を突破した『ずるい暗記術』。年末年始になると、センター試験の追い込みをしている学生さんも多いのではないでしょうか。かくいう著者も、2ヵ月という短期間で、目標を達成しました。短期間で効率よく覚えて思い出すためのノウハウを本書から一部抜粋し、試験まで時間のない方がたのための勉強法をご紹介していきます。

アウトプットをしながら、同時にインプットもやる

 これまで、いかにラクをしながら最大限に暗記できるかの「インプット」についてお伝えしてきました。ですが、いくらたくさん覚えても、試験で思い出せなかったらまったく意味がありません。

 ここでは、覚えたことを出し切る「アウトプット」の方法をお教えします。それもインプットと同様、誰にでもでき、なおかつ絶大な効果のある方法です。それぞれをゲームのように攻略していってください。

 インプットとアウトプットの割合は1:2と考えてください。試験までのこりわずかなら、1日の作業の1/3はインプットに、のこり2/3はアウトプットに費やしてください。

 そもそも、試験とは究極のアウトプットの場です。スポーツでいえば試合(ゲーム)、つまり本番です。今まで積み重ねてきたことを100%出せるかどうかが勝負の分かれ目になります。

 しかし、試験本番はとかく緊張するものです。いつもと違う環境に加え、周囲も気になって集中できず、解けるはずの問題も時間切れで解けなかったという経験のある人もいるでしょう。

 そこで重要になってくるのが「スピード」です。特に、試験が始まって最初の5分は、ほとんどの人が舞い上がってしまいます。最後まで落ち着かないまま力を発揮できなかったという羽目に陥らないためには、日頃からスピードを意識することです。

 60分の試験を60分でやるのではなく、45分くらいでやれるように普段から訓練しておくのです。そうすれば、たとえ緊張して頭が真っ白になったとしても、15分ぶんの余裕があるので、そこで取り戻すことができます。

 では、具体的な方法に移りましょう。

『ずるい暗記術』ではこれまで「答えを見る→問題を見る」という方法で知識を取り入れてきましたが、今度はその逆です。

「問題を見る→答えを思い出す」のです。

 最初は答えを思い出せなくても気にせず、何回も繰り返します。思い出せないもの、間違っていたものは、もう一度確認し、きちんと覚えるようにします。つまり、この方法は、アウトプットをしながら、同時にインプットもやっていることになります。

 通常なら先にインプットをし、あとからアウトプットと順を追って行いますが、この方法なら時間をかけずに両方いっぺんにできてしまいます。その点では、試験が近いときほど、効果があります。

 思い出すときのポイントとしては、紙に書かないことです。書くと時間がかかるので、頭の中だけでパッと答えが思い浮かぶように訓練してみてください。

 次に、その思い出す作業をスピードアップして行うようにします。初めは、試験の標準時間を目安に始めます。たとえば1問1分だとしたら、40秒、30秒……と、だんだん短くしていきます。

 私の場合は「10秒かかったらダメ」というマイルールを設けていました。最終的には問題文の最初のワードを見た瞬間に答えがわかるくらいが理想ですが、できなくても焦らず、何度も繰り返していきましょう。

 自転車に初めて乗ったとき、怖くてスピードが出せないのでゆっくり走りますよね。

 でも、慣れてくるとスピードが出せるようになり、さらに速くこげるようにもなっていきます。この「思い出し」もそれと同じで、慣れてしまえば、速いと思っていた速度が普通になり、もっともっと早く思い出せるようになります。

 スピードを意識しながら思い出すようにしていくと、試験本番でも時間をかけずに答えを書いていくことができます。考えなくてもよい選択問題をできるだけ短時間で埋めてしまえば、考えて解く問題に適切な時間をかけることができます。