売上高回復がままならず、都心の主要店舗が閉鎖するケースも目立つようになった Photo by Ayako Suga

 米マクドナルドが、約5割を握る日本マクドナルドホールディングス(HD)の株式売却を模索し始めた。

 日本マクドナルドは、2014年夏に発覚した期限切れチキン問題をきっかけに業績が悪化。売上高が大幅に落ち込み、2期連続の最終赤字が見込まれている。

 にもかかわらず、14年3月に就任したサラ・カサノバ社長の施策は、セットメニューの値下げや値上げを繰り返すなど迷走しており、売上高は一向に回復しそうにない。

 そのため、ついに米マクドナルドはしびれを切らし、日本マクドナルドHD株の売却に向けて動き始めたというわけだ。

 ただ、社内は至って冷静。というのも、昨年7月に米マクドナルドが打ち出したグローバル戦略で、日本は「最重要マーケット」から外されており、「見放された」と受け止められていたためだ。

 米マクドナルドが、株式の売却先として打診したのは投資ファンドや総合商社。具体的な名前は明らかにされていないが、米ベインキャピタルや三井物産の名前が挙がっている。

 このうちベインは、11年にすかいらーくを約3000億円で買収、再建に成功して15年10月に再上場を果たした実績がある。すかいらーくの会長には、元米マクドナルド社長だったラルフ・アルバレス氏が就くなど人的関係も深い。

 また、「総合商社で唯一関心を示した」(関係者)とされる三井物産は生活消費関連に弱い。そのため、フランチャイズも含めて全国に約3100店舗、売上高にして約4400億円のチェーンが一気に手に入ることに興味を示したようである。

 マクドナルド、ベイン、三井物産3社とも「今回の件にはコメントできない」としている。