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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

「内装設備は日本製品」を強調したマンションが上海で大人気

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第270回】 2016年1月21日
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 昨年最後の日、上海の中心区にある人民広場から、地下鉄の移動で45分間かかる地下鉄11号線「馬陸」駅前に完成したばかりの数棟のタワーマンションに、家族連れの人々が流れ込んでいた。駅直結のこの高層マンション群はその日から部屋の引き渡し作業が行われることになったからだ。

 実は、これらの建物は住宅、オフィス、商業を一体化した複合開発プロジェクトで、約500戸の住民が入居する大型物件だけではなく、商業施設も4万平米に及んでいる。馬陸エリアではランドマーク的な存在として注目を浴びている。

 販売担当者との引き渡し作業の順番が来るのを、辛抱強く待っていた人々には笑顔があふれていた。笑い声も絶えなかった。内装、設備を含む住宅の品質が大きく評価されたため、それほど苦労せずに完売できた物件とは言え、その日の雰囲気の良さには、もう一つの理由がある。

 これらの不動産の販売価格は購入を契約した時点のそれよりも、引き渡し作業が行われる日の方が高い。だから、分譲住宅の購入者たちはこの物件をお買い得だったと思い、喜んでいるのだ。室内の空気を確認した現場のプロジェクトの担当者も「もし、逆の場合は大変だ」と思わず胸をなで下ろしている。なぜかというと、部屋の引き渡し作業時は一番、トラブルが起きやすいからだ。

お祝い品の日本語表記に
目を輝かせる購入者たち

 販売担当者たちは、引き渡し作業の手続きが終わった購入者に、住宅のカギや資料などを詰めた特製のオリジナルカバンを丁重に手渡した。買い物など日常生活に使ってもらえるように、その特製のカバンもデザインやカラーをはじめ、素材などにも凝っている。そして、その中にやや意外なお祝いのものも忍ばせている。

 透明なケースにホタテ貝殻を原料にしたホタテ貝洗浄剤を3本まとめたのがそのお祝いの品だ。錦商ブランド、日本特許取得号、野菜や果物に付着している残留農薬を効果的に洗浄できるなどのことを謳っている日本語の文字に、購入者たちは一様に目を輝かせた。

 住宅の引き渡し現場の風景を取材に来た撮影クールのインタビュー要請に、購入者たちは帆立貝洗浄剤を見せながら、「その心遣いに感動しました」、「意外なプレゼントでした。これから愛用していきます」と感激した気持ちを述べていた。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり・・・中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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