菅直人内閣の支持率が、朝日新聞調査で、59%から50%に下落した。わずか1週間で10ポイント近い下落は異例のことだ。

 その主因は、菅首相の「消費税率10%」発言によるものと思われる。

 この発言には3つの大きな問題点がある。

消費税率アップのための
前提条件と手順が充分ではない

(1)消費税率の大幅アップのためには、不可欠な前提条件がある。それは、景気の自律的回復と、国民が納得できる行政改革の成果が挙げられること。この2つの条件が全く満たされていないことだ。

 このことは、自民党の消費税増税論にも共通している。

(2)民主党は、財政健全化への手順をきちんと踏むことを公約としていたはずだ。

 「消費税を4年間は上げない」とし、税金の無駄使いを根絶することを約束し、それが政権交代の原動力となった。

 菅首相も、昨年財務相に就任した当時、無駄使いは「逆立ちしても鼻血も出ないほど絞り取る」と喝破して期待をふくらませた。

 だからこそ、2度にわたる事業仕分けが評価されたのだ。

 しかし、行政改革はほんの入り口に立っただけ。本格的に着手されたとも言えない。

 これでは、首相が変節したと受け取られ、財務省に取り込まれたという印象を受けるのも当然だ。