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元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学

やっぱり、タダより高いものはない!? バラマキと増税のバランスを見極める「白紙委任しない」という意識

――参院選直前。「国のお金の使い方」を考える

見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]
【第20回】 2010年7月6日
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 参議院選挙投票日まで、残り1週間を切りました。昨年の衆議院選挙では、「政権交代」が大きな争点で、国民に対する目先の利益誘導政策として、「高速道路無料化」や「子ども手当」が掲げられました。

 そして政権交代後、高速道路無料化と子ども手当については、何とか一部実施までこぎつけたものの、いまや“バラマキ”との批判に晒されています。また鳩山前首相によって“凍結”されたはずの「消費税率引き上げ」議論は、菅首相の就任とともに速やかに“解凍”作業に入っています。

国民が知った「タダより高く、
怖いものはない」という現実

 第10回でも書いた通り、高速道路は建設コストの回収やメンテナンス費用も必要であり、無料化する財源は必ずどこかでツケが回ってくるものです。この点は、子ども手当の財源についても同様で、今回の消費税率引き上げの議論の中で、「バラマキには財源が必要だった」という当たり前のことを私たち国民は学習したと思うのです。

 まさに「タダより高く、怖いものはない」ということに、国民は気付いたわけですが、そもそも「入ってくるお金(入金)」と「出て行くお金(出金)」の辻褄が合うか否かを検証することは、私が以前いた銀行の世界では当たり前のことでした。

 銀行における融資の仕組みを単純化すると、「入金」よりも「出金」が多い場合、「その差額分(出金-入金)」の融資(借入)を受ければ、その時点で資金的な辻褄は合うことになります。

 これを国のケースに例えると、「歳入(入金)」よりも「歳出(出金)」が多い場合、国債を発行(借入)することで、資金的な辻褄を合わせていることになります。

 当然ながら、借入をした場合には必ず、返済をしなければなりません。仮に期日までに返済できない場合には、返済期日を延長するか、もしくは新たな借入をして、その資金で前の借入を返済する必要があります。

 しかし、このような状態を長期間放置しておくと、結果的に不良債権化することになります。借入には返済という義務が伴う以上、あくまでも対処療法に過ぎないのです。そこで、歳入不足の本源的な問題解決策としては、次の2つの方法が考えられます。

 1つ目の方法は、バラマキに代表される「歳出(出金)」を抑えることです。企業のケースに例えると、コスト削減のリストラに着手する、ということになります。

 2つ目の方法は、「歳入(入金)」つまり「税収」を増やすことです。例えば、新成長戦略により経済成長の果実が得られれば、それに伴い「税収」は増加します。しかし、種すら蒔いていない「新成長戦略」の果実を得るには、まだまだ時間が必要です。

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見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]

1967年生まれ、埼玉県出身。90年立教大学法学部を卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。05年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修了(MBA)。同年10月に三井住友銀行を退職し、Mr.Childrenの桜井和寿等が設立したNPOバンク(ap bank)に理事として参画。09年2月に株式会社フィールド・デザイン・ネットワークスを設立し、代表取締役に就任。企業や金融機関に対する戦略・企画コンサルティングを行う。専門は、循環型(環境)ビジネス、ソーシャルビジネス、BOPビジネス及びファイナンス。立教大学AIIC「立教グラミン・クリエイティブラボ」副所長。多摩大学経営情報学部非常勤講師。
☆ご意見・お問合わせはこちら  ☆Twitterアカウント:ken_miyama


元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学

ちまたにあふれる環境ニュースやキーワードの数々。近年のエコブームで「地球にやさしい」というところで思考停止してしまい、その本質を理解できていない人は意外と多い。当連載では、国やメディアに先導されたままの環境キーワードを取り上げ、「論理」と「感性」の両方を満たす、真の環境リテラシーについて考える。

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