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China Report 中国は今

銀座の中国人爆買いがもたらす日本人客離れの深刻

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第199回】 2016年2月26日
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 由緒ある名店に細やかな接客、銀座をして別格だといわしめる理由はここにある。その銀座での買い物は日本人にとってのプライドでもある。だが最近、こんな失望の声を聞いた。

 「あの店にはもう二度と行きません」――

高級店が立ち並ぶ銀座は、いまや爆買いの聖地

 こう語るのは、武蔵野市在住の主婦・佐藤智美さん(仮名)だ。銀座の百貨店の地下で高級食材を購入しようとしたとき、こんなことがあった。

 「販売員に商品の詳細をたずねようとしたら、中国人観光客が入ってきました。販売員は“爆買い客”だと見込んだのでしょう、商品説明も途中なのに気もそぞろ、さっさと私の買い物を終わらせてしまいました。いまどき、爆買いでもしないと十分なサービスを受けることができないんですね」

 中央区に住む会社社長の光村真美さん(仮名)も買い物には銀座の店舗を愛用、店員と会話を交わしながら品定めするのがこれまでの楽しみだった。ところが今年は違う。訪れた靴売り場では「ごゆっくりお選びください」と一言あるだけ。光村さんも「私は爆買い客じゃありませんから。靴一足じゃ、相手にしてもらえなくなりました」と苦笑する。

爆買い客急増による
日本人客の客離れが怖い

 こうした日本人客の不満の声は、銀座の店舗経営陣の耳にもすでに届いている。銀座の店舗が加盟する連絡会、その懇親会に集まった経営者たちはこんなことをささやいていた。

 「うちも日本人のお客様からのクレームに頭を痛めているんです」――

 大切にすべきは「長年のお得意様である日本人客」なのか、それとも「購買単価の高い中国人客」なのか。銀座に立地する店舗が抱えているのはそんなジレンマだ。

 インバウンド・ツーリズムが緒に就いたばかりの頃、銀座では中国人客向けサービスの充実に積極的に対応しようという動きが見られた。しかし、おびただしい数の中国人客が訪れるようになった今、店舗側がむしろ気に掛けるのは日本人客の動向である。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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