「大企業ならではの悩み。マスマーケティング頼みの商品だけでは、いずれじり貧になる」
そう危機感をあらわにするのは日用品大手、花王の塗谷弘太郎ホームケア事業グループ長だ。「“マス物”のにおいを感じる商品を手に取らない消費者が、年々増えている」とため息をつく。
芳香剤など日用品のデザインが、自室やオフィスの雰囲気を台無しにしてしまい、そのまま戸棚行きになってしまった経験はないだろうか。その理由は単純。多くの日用品のパッケージが、使用シーンとの調和とは相反する意図によりデザインされているためだ。
ドラッグストアやスーパーの日用品コーナーは、さながら繁華街のネオンのごとく極彩色の商品で溢れている。各メーカーがど派手なパッケージで、隣に陳列されたライバル商品よりも商品名や機能を目立たせることにしのぎを削っているからだが、日常の生活空間に商品を持ち帰れば、当然そんな過剰演出されたパッケージは“浮いてしまう”。
ところが、ここにきてそんな日用品デザインの常識が変わる動きが出ている。