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日本に巣食う「学歴病」の正体

「キラキラ女子」を採用する企業の秘めた思惑

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第10回】 2016年3月15日
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 今回は連載第3回で取り上げた、有名ベンチャー企業のマネジャーに改めてインタビュー取材した内容を紹介したい。前回の取材の際、マネジャーは「キラキラ女子」という言葉を使っていた。

 筆者は、この言葉に関心を持った。マネジャーの言う「キラキラ女子」とは、シンプルに言えば、高学歴で優秀な学生を採用するために、会社の広告塔として利用されやすいタイプの女性社員のことだ。彼女たちを分析することで、新卒採用のあり方、女性の働き方、そして企業が抱える「学歴病」に関する実態が浮き彫りになるのではないか、と考えたからだ。実に多くの問題意識を提起する事例だと、筆者は思う。

 話を聞いたマネジャーを仮にA氏とする。A氏は現在、営業本部に勤務する40代前半の男性。会社は正社員数が約1000人。マネジャーは7~10年ほど前、大卒の新規採用をするグループ(5~10人)の一員だった。その頃、他のメジャーなベンチャー企業の採用担当者らと知り合う。情報交換をするなか、「キラキラ女子」の存在を知ったようだ。あなたはA氏の話から何を感じ取るだろうか。


目がぱっちりでメイクばっちり
社員の憧れ「キラキラ女子」とは?

――連載第3回の取材時には、「キラキラ女子」という言葉を使っていました。その意味するものを教えてください。そもそも「キラキラ女子」が多いのはどんな企業ですか。

「キラキラ女子」が多い企業の採用には、どんな思惑があるのか?

A氏(以下同) ほとんどの人は察しがつくと思います。「ああ、あの会社の女性社員たちか……」と。その想像通りですよ。

 その会社(B社)のトップは、十数年前はスキャンダルを抱え込んでいたようでしたが、実はめちゃくちゃ硬派な人。仕事一筋ですからね。だから、1990年代後半に創業し、数年経った頃までは平凡な学生を採用していたのです。

 ところが、十数年前からその方針が変わります。ある有名な採用コンサルタントとタイアップし、新卒採用をするようになったのです。

 女子大生を採用するときは、大学でいえば、慶應、立教、青学、学習院、東京女子、日本女子、大妻女子などの学生を次々と狙います。そのほとんどが、見た目はキレイ。こうした「キラキラ女子」は、入社後は女性向け雑誌の表紙のモデルみたいな雰囲気を醸し出しながら働く。お目めぱっちりで、お化粧ばっちり、洒落たお洋服も着ています、仕事もバリバリして、恋もしちゃいます、みたいな雰囲気で……。

 しかし、その大半が学生時代の頃からの慣れ合いの男性と30代半ばまでに結婚し、どんどん辞めていく。一生働くような考えもスキルも技能もないから……。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


日本に巣食う「学歴病」の正体

 今の日本には、「学歴」を基に個人を評価することが「時代遅れ」という風潮がある。しかし、表には出にくくなっても、他者の学歴に対する興味や差別意識、自分の学歴に対する優越感、劣等感などは、今も昔も変わらずに人々の中に根付いている。

たとえば日本企業の中には、採用において人事が学生に学歴を聞かない、社員の配属、人事評価、昇格、あるいは左遷や降格に際しては仕事における個人の能力や成果のみを参考にする、という考え方が広まっている。しかし実際には、学歴によって選別しているとしか思えない不当な人事はまだまだ多く、学閥のようなコミュニティもいまだに根強く存在する。学歴が表向きに語られなくなったことで、「何を基準に人を判断すればいいのか」「自分は何を基準に判断されているのか」がわかりずらくなり、戸惑いも生まれている。こうした状況は、時として、人間関係における閉塞感やトラブルを招くこともある。

 これまでの取材で筆者は、学歴に関する実に多くのビジネスパーソンの悲喜こもごもを見て来た。学歴に翻弄される彼らの姿は、まるで「学歴病」に憑りつかれているようだった。学歴は「古くて新しい問題」なのだ。本連載では、そうした「学歴病」の正体を検証しながら、これからの時代に我々が意識すべき価値基準の在り方を考える。

「日本に巣食う「学歴病」の正体」

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