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宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

金融革命の起爆剤となるか
フィンテックの実像と銀行経営へのインパクト

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第26回】 2016年1月6日
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 「フィンテック(Fintech)」についての議論が喧(かまびす)しい。決済業務を銀行から奪取するとか、「ネオバンク(Neo Bank)」とまでいわれ、銀行経営を圧迫すると指摘する向きもある。フィンテックは銀行経営にどんな影響を及ぼすのだろうか。

フィンテックとは何か
そのサービスと技術の全貌

 フィンテック(Fintech)とは、Finance(金融)とTechnology(技術)を合わせた造語である。そもそもは、金融機関向けシステムを指す言葉だったが、近年、銀行以外の金融系ベンチャー企業が、システムを駆使して行う「新金融スキーム(New Financial Scheme)」を指すことが多くなってきている。

 フィンテックの有名なスキームには、米国のショッピングウエブサイト「eBay」の決済として発展した「PayPal(ペイパル)」、中国の最大のショッピングウエブサイト淘宝網(タオバオワン)の「Alipay(アリペイ:支付宝)」、ケニアの銀行口座を持たずに決済できる「M-ペサ(エムペサ:M-Pesa)」、そして「Bitcoin(ビットコイン)」などがある。これらのほとんどは、ネットの商品購買の決済、そして送金などの決済といったオンライン決済サービスである。従来の金融サービスと比べ、手続きが簡便で、手数料が安いという特徴があるが、リスクの面ではやや不安ということである。ケニアでは慎重な日本人はM-ペサは便利であっても使わない。

 フィンテックの将来を考えるにあたり、特徴を以下に挙げてみる。

(1)現在フィンテックといわれるサービスは15年以上前からある

 フィンテックという言葉自体は新しい印象があるが、昨年に始まったわけではなく、意外と前から営業している。PayPal は1998年、Alipayは2005年、M-ペサは2010年、ビットコインは2009年から営業を開始している。つまり、フィンテックは継続的なイノベーションの流れの一環と考えられるのである。

(2)「個人向け」サービスが主である

 「ネオバンク」ということで、銀行業務全体に影響があるように考えられ、一部には恐怖感もあるようである。しかし、まず、その特徴はネット系であり、融資にしても個人(リテール)がその対象である。ビットコインにしても、PtoP(Peer to Peer:Peerは端末のイメージ)、すなわち、個人間のダイレクト取引が主である。

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宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
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公式サイト:http://www.shukuwa.jp/    
連絡先: info@shukuwa.jp

 


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「円安は日本にとってよいことなんでしょうか?」「日本の財政再建はどうして進まないのでしょうか」。社会人から学生、主婦まで1万人以上のメンバーを持つ「宿輪ゼミ」では、経済・金融の素朴な質問に。宿輪純一先生が、やさしく、ていねいに、その本質を事例をまじえながら講義しています。この連載は、宿輪ゼミのエッセンスを再現し、世界経済の動きや日本経済の課題に関わる一番ホットなトピックをわかりやすく解説します。

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