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実例で知る! 他人事ではない「男の離婚」 露木幸彦

震災後、夫婦の絆がこじれてしまった3組の悲劇(下)

露木幸彦 [露木行政書士事務所代表]
【第25回】 2016年3月19日
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>>(上)より続く

 そんなふうに「震災離婚」の体験談を語ってくれたのは松本大輔さん(仮名。38歳、神奈川県在住)。大輔さんは都内の大学の教壇で熱弁を振るっていました。少なくとも私たち一般人より原子力の分野の知識に長けているのですが、それなのに大輔さんは原発事故のせいで家族の離散、離婚の強要、そしてわが子との生き別れという悲劇に遭ってしまったのです。

 大輔さんには当時、34歳の妻と4歳の娘さんがいました。

 「妻がおかしなことを仕出かすことは間々あったのですが、たいして気に留めませんでした」

 例えば、近所のスーパーで品物を万引きし、盗品を使って晩御飯を作った挙げ句、食事中に「盗んだ品」だということを暴露し、まるで武勇伝かのように自慢げに語る。

 また市販のクッキーについて材料費の高騰を理由に菓子メーカーが実質値上げ(値段は据え置きだけれど内容量を減らす)に踏み切った際、そのことに激怒し、菓子メーカーのカスタマーセンターに電話をかけ、数時間もの間、クレームを言い続ける。

 そしてネット上のフリーマーケットで品物を購入し、手元に届いた後、「クーリングオフするから!」とキレて返金させたのに、その品物を出品者へ返そうとしない。

 このように妻は今まで度の過ぎた言動を繰り返してきたのですが、いかんせん大輔さんの仕事は多忙を極め、自宅と大学との往復だけで1日が終わってしまい、クタクタになって帰ってきて、わざわざ妻を注意する気力は残っていなかったそうです。最初のうちに妻にきちんと注意していたら、どうなっていたのか……それは神のみぞ知るところですが、大輔さんは「まぁ、いいか」と先送りにし、見て見ぬふりを続けてきました。

 癇癪の対象はスーパーの品物やお菓子メーカーの電話口、そしてフリマの出品者に限られており、幸か不幸か、妻の怒りの矛先が大輔さんに向かうことはありませんでした。とりあえず夫婦の間に決定的な溝ができることはなく、大輔さんの「事なかれ主義」が功を奏して結婚6年目を迎えることができたのです。東日本大震災が起こったのは、そのタイミングでした。

 「妻はいくら何でも度が過ぎますよ!娘はまだ4歳なので、放射能に対して過敏に反応するのはある程度、仕方がないにしても、です」

放射能に過剰反応する妻
通販で20万円以上の野菜を購入

 大輔さんいわく、震災の日を境にして、妻が「本当の姿」を見せ始めたそうです。震災以降、妻は1日のうち、ほとんどの時間を放射能などの情報を検索してネットサーフィンに費やし、途中で気分が悪くなり、寝込んでしまうという日々でした。とはいえ妻は専業主婦なので本来、平日の昼間は家事や育児をしなければなりません。

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露木幸彦[露木行政書士事務所代表]

つゆき・ゆきひこ/行政書士、フィナンシャルプランナー。1980年生まれ。国学院大学卒。男性の離婚相談に特化した行政書士事務所を開業し、開業から6年間で有料相談件数7000件、法律文書作成900件を達成。公式サイトは1日訪問者3300人、会員数は1万3000人と、業界では最大規模にまで成長させる。2008年よりドコモ、au、ソフトバンクの公式サイトで法律監修を担当。四半期に一度、大相談会を開催している。主な著書に『結婚貧乏~結婚してはいけない人を避ける方法』(中央公論新社)、『離婚のことばハンドブック~今すぐ解決したい人のキーワード152』(小学館)、『男のための最強離婚術』『男の離婚 賢く有利に別れるための6つの成功法則』(共にメタモル出版)などがある


実例で知る! 他人事ではない「男の離婚」 露木幸彦

昨今の離婚事情は複雑化している。夫が借金、浮気、暴力を繰り返して妻に愛想を尽かされるという「昭和型離婚」ばかりでなく、足もとでは「草食系離婚」も急増している。妻が多重債務、不倫、ヒステリーなどを繰り返し、真面目で優しい夫がそれに絶えられなくなって離婚を決意するというパターンだ。そうしたなか、離婚トラブルで悩み悶える男性が増えている。一度離婚トラブルに発展すると、男性は多くの精神的・物理的な負担を強いられる。到底納得できない理不尽な離婚トラブルに意図せず巻き込まれた場合に備えて、普段から対処法を考えておくことは必要だ。「男性の離婚相談」に特化し、数多くの相談実績を誇る行政書士の露木幸彦氏が、毎回実例を挙げながら、男性が陥り易い離婚トラブルへの対処法を指南する。読まずに泣くか、読んで笑うか――。現在離婚トラブルで悩んでいる人もそうでない人も、「他人事ではない男の離婚」について考えるための参考にしてほしい。

「実例で知る! 他人事ではない「男の離婚」 露木幸彦」

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