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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

新車販売500万台割れ!
自動車業界の「国内需要先細り」不安は本当か

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第26回】 2016年3月25日
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新車販売が4年ぶりの500万台割れ
来年度の需要見通しにも「からくり」が

2015年度の国内新車販売は、4年ぶりの500万台割れとなる見込みだ。2016年度の実態需要も、15年度並みになると見られる。自動車業界の「国内需要先細り不安」は本当か

 日本自動車工業会(自工会)は、2016年度(2016年4月~2017年3月)の自動車国内需要見通しを公表した。その予測によると、2016年度の国内新車総需要は525万8400台、前年度比106・5%となった。

 この予測数字だけ見ると、国内の自動車販売は順調に推移するかのようだが実態は違う。実はこの予測値には、2017年4月に予定されている消費税増税、つまり現行の消費税8%から10%への引き上げによる自動車の駆け込み需要が含まれている。必然的に、駆け込み需要があれば反動減もある。いわば、見せかけの需要が含まれているのだ。

 池史彦・自工会会長(ホンダ会長)も会見で、「国内市場の足もとは厳しい。2年前の消費税増税以降の2年間で前年を上回った月は2ヵ月だけ。基幹産業である自動車が日本経済を引っ張っていく期待が大きいにもかかわらず、国内市場の実態は低迷している。2016年度の実態需要は15年度並みか」と語った 

 この2015年度(2015年4月~2016年3月)の国内新車販売は、493万8800台、前年度比6・8%減で、4年ぶりの500万台割れとなる見込みだ。2014年4月の消費税引き上げに続く2015年4月の軽自動車税増税が響いて、軽自動車市場が減少したことが大きい。

 自動車の国内市場は、日本経済がバブル景気にあった1990年度を頂点(780万台)として、長期低迷トレンドに入った。それでも2000年代におけるリーマンショックや東日本大震災後の2012年以降、500万台前半から半ばをキープしてきた。新車500万台ラインに中古車がそれと同等、あるいは新車以上に流通され、いわゆる「保有のストック循環ビジネス」として日本経済を支える産業構造を形成してきている。

 しかし、国内新車需要の500万台割れが続くと、かつて予測された2020年以降のさらなる先細りが現実視されることになる。グローバル戦略で日本車の強みを示すわが国の自動車業界にとって、母国市場の先行きは大きな杞憂となっている。グローバル戦略の基盤であり底辺業種の広い国内自動車市場が「いかに活力を取り戻していくか」が、テーマとなってきている。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

「モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫」

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