「教養のための読書」? そんなのつまらない!

フロー・リーディングはすべての種類の本に有効なわけではない。そのとき重要になるのが「何のために読むのか」という視点の持ち方だ。

数年前までは「1ページ5分」かかるほどの超・遅読家だったにもかかわらず、「ライフハッカー[日本版]」などに月60本近くのブックレビュー記事を寄稿する印南敦史氏。新時代の読書術「フロー・リーディング」をまとめた『遅読家のための読書術』の内容をベースに、「読書スピードの遅さ」や「読書量の減少」に悩む人たちに役立つコンテンツをお届けしていく。

「物語」を読まないと、心が貧しくなる

僕の読書メソッドが対象としているのは、主に「ビジネス書」とか「新書」といった、事実・主張を伝えるコンテンツであり、小説のようなストーリーコンテンツは含まれていません。

なぜなら、速く読める本(ビジネス書、新書など)と速く読む必要がない本(小説、エッセイなど)とでは、読む目的が違うからです。

非常に大まかながら「本を読む目的」というのは、こんなふうに整理できるのではないでしょうか。

(1) 事実・主張コンテンツ(ビジネス書・新書など) 自分を成長させるため

(2) ストーリーコンテンツ(小説・エッセイなど) 自分が楽しむため

もちろん個人差はあると思います。「純粋に楽しむためだけに新書を読む」という人もいるでしょうし、「ためになるから小説を読んでいるんだ」という人もいるでしょうから、ごく単純化した話だということを前提に話を進めさせてください。

「フロー・リーディング習慣」による年間300冊読書計画は、「(1)事実・主張コンテンツ=速く読める本」を1冊1日で読み終えることを前提としています。

しかし本好きの人ほど、この読書生活を送っていると、ちょっと物足りなくなってくると思います。時間を忘れてワクワクしながらストーリーに没頭する読書が恋しくなってくるからです。