自民党は、全ての加工食品について原料の原産地表示を求める方針を決めた。5日のTPP(環太平洋経済連携協定)承認案の国会審議入りを前に農業対策の目玉として打ち出した。夏の参院選公約にも盛り込む。
これまで原料原産地を表示しなければならない加工食品は全品目の2割にとどまっていた。とりわけ、TPPで輸入が増えそうな牛肉や豚肉の加工品(ハムやソーセージなど)には表示義務がほとんどなく、畜産農家らは、国産原料を使った加工食品と輸入原料による商品を消費者が判別できる表示ルールを求めていた。
具体的な制度設計は秋までに消費者庁が行うが、自民党側は、商品に占める重量の割合で1位の原料と、商品名に入るメーンの原料には最低限、原産地を表示させる意向だ。
今回の方針決定には農業団体も期待を寄せる。JA全農の立石幸一食品品質・表示管理コンプライアンス部長は、「(自由化の先例である)ウルグアイ・ラウンド(多角的貿易交渉)の農業対策では6兆円の予算が投入された。国費を使わずに、それ以上の効果を挙げ、農業を活性化できる施策が原産地表示の拡大だ」と話す。