ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
理系に学ぶ。
【第10回】 2016年5月2日
著者・コラム紹介バックナンバー
川村元気 [映画プロデューサー・小説家]

ミドリムシの栄養価は
まるでドラゴンボールの「仙豆」
【出雲 充氏×川村元気氏】対談(前編)

1
nextpage

『告白』『悪人』『モテキ』『バケモノの子』『バクマン。』などを手がけた映画プロデューサーで、初めて書いた小説『世界から猫が消えたなら』が120万部を突破し映画化。2016年も映画『怒り』『何者』など、次々と繰り出される企画が話題を集める川村元気。その背景にあるのは「“苦手を学ぶ”ことで、人間はぎりぎり成長できる」という一貫した姿勢だという。
そんな川村元気が、話題の新刊『理系に学ぶ。』では、「文系はこれから何をしたらいいのか?」をテーマに最先端の理系人15人と、サイエンスとテクノロジーがもたらす世界の変化と未来を語っている。
本連載ではその中から5人との対談をピックアップするが、第10、11回では、「世界の栄養不足を救う!」ために研究を始めたミドリムシの多様な可能性を追求し続けるユーグレナ代表取締役社長の出雲 充さんにご登場いただく。

ミドリムシのすごさを教えてもらえますか?

川村 まず初めに、どうして「ミドリムシ」だったのか、教えてください。

出雲 「将来は国連に就職して飢えに苦しむ人を助けたい」と思っていた大学1年の夏休みに、世界最貧国といわれていたバングラデシュに行ったんです。途上国ではみんながお腹をすかせているイメージがあったんですけど、そんな人は誰一人いなくて、3食ちゃんとカレーライスが配られるんですよ。しかも倉庫から溢れるくらいストックもあって、カロリーメイトをスーツケースに入れて大量に持っていったんですけど、「要らない!」と言われて。

川村 食料は十分に足りているということですね。

出雲 でも、一緒にサッカーや運動をしたりすると、子どもたちはすぐにへたり込んじゃって、しゃがんで動かなくなってしまう。要するに米以外のものを食べていないから、筋力が作れないんです。

川村 ビタミンやタンパク質がほとんど取れていないということでしょうか。

出雲 そうなんです。そこで思い出したのが漫画の『ドラゴンボール』に出てくる架空の食べ物「仙豆」でした。1粒食べれば何日も空腹にならない仙豆のような食品を発明できたらと。その後、大学に戻って効率的に栄養素を摂取できる源を探していたとき、ミドリムシに出会ったんです。

川村 ミドリムシはどんなポテンシャルがあるんですか?

出雲 植物性と動物性の両方の栄養素を持った生物は、地球上でミドリムシだけなんですよ。体内にある葉緑素で光合成をしてビタミンなどの植物性の栄養素を作りながら、タンパク質などの動物性の栄養素を備えていて、自ら動くことができるんです。

川村 『ドラえもん』に出てくる木の生き物、キー坊みたいなことですね(笑)。

出雲 そうですね(笑)。しかも5億年も生きていて、なおかつ絶滅していないっていうのは奇跡的だと思います。普通、植物であれば光合成をやるぞと進化していくし、動物は高度に動けるようになるぞと進化していくわけで、いいとこどりはあり得ない。どっちかに特化して進化していかないと生き残るはずがないのに、ミドリムシのようなどっちつかずで死なずにいた種は他にいないですよ。

川村 恐竜は一瞬、地球の覇者になりましたけど、氷河期が来てすぐいなくなっちゃいましたし、人間にしてもたかだか数十万年なわけで、ミドリムシは想像を絶するほどタフなやつなんですね。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
自分の時間を取り戻そう

自分の時間を取り戻そう

ちきりん 著

定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
生産性は、論理的思考と同じように、単なるスキルに止まらず価値観や判断軸ともなる重要なもの。しかし日本のホワイトカラー業務では無視され続け、それが意味のない長時間労働と日本経済低迷の一因となっています。そうした状況を打開するため、超人気ブロガーが生産性の重要性と上げ方を多数の事例とともに解説します。

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


川村元気 [映画プロデューサー・小説家]

1979年横浜生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、東宝にて『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『寄生獣』『バケモノの子』『バクマン。』などの映画を製作。2010年米The Hollywood Reporter誌の「Next Generation Asia」に選出され、翌11年には優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。12年には初小説『世界から猫が消えたなら』を発表。同書は本屋大賞へのノミネートを受け、100万部突破の大ベストセラーとなり、佐藤健、宮﨑あおい出演で映画化された。13年には絵本『ティニー ふうせんいぬのものがたり』を発表し、同作はNHKでアニメ化され現在放送中。14年には絵本『ムーム』を発表。同作は『The Dam Keeper』で米アカデミー賞にノミネートされた、Robert Kondo&Dice Tsutsumi監督によりアニメ映画化された。同年、山田洋次・沢木耕太郎・杉本博司・倉本聰・秋元康・宮崎駿・糸井重里・篠山紀信・谷川俊太郎・鈴木敏夫・横尾忠則・坂本龍一ら12人との仕事の対話集『仕事。』が大きな反響を呼ぶ。一方で、BRUTUS誌に連載された小説第2作『億男』を発表。同作は2作連続の本屋大賞ノミネートを受け、ベストセラーとなった。近著に、ハリウッドの巨匠たちとの空想企画会議を収録した『超企画会議』などがある。

 


理系に学ぶ。

『世界から猫が消えたなら』『億男』『仕事。』で出版界に新風を吹き込む川村元気が、言葉で読み解くこれからの理系脳。最先端の理系人たちと、サイエンスとテクノロジーがもたらす世界の変化と未来を語る。
・川上量生(カドカワ 代表取締役社長/ドワンゴ 代表取締役会長)
・宮本 茂(任天堂 専務取締役 クリエイティブフェロー)
・舛田 淳(LINE 取締役 CSMO)
・西内 啓(統計家)
・出雲 充(ユーグレナ 代表取締役社長)

「理系に学ぶ。」

⇒バックナンバー一覧