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「コンビニ難民」知られざる実態
全高齢者の6割が生活苦に?

竹本遼太 [三井住友トラスト基礎研究所 副主任研究員]
2016年4月13日
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もはや生活になくてはならない
コンビニ1店が提供してくれること

生活に不可欠なコンビニに歩いて行けない「コンビニ難民」は、今や全高齢者の6割に及んでいる(写真はイメージです)

 日常生活の様々な場面で立ち寄る機会が多いコンビニエンスストア、いわゆるコンビニ。現在、北から南まで、コンビニ各社の店舗網は5万5000店を超え、年間売上高は約10兆円、1ヵ月間の来店者数は14億人に達する。

 我々がコンビニ1店を利用する目的は、弁当や雑誌の購入から宅配便の発送、コンサートなどのチケット申し込みまで、数知れない。もはや「コンビニのない生活など想像できない」という読者もいるだろう。

 一方、高齢化を伴う人口減少を背景に、日常の買い物に不便を感じる「買い物弱者」「買い物難民」が社会問題となっているのは、周知の事実だ。経済産業省の研究会が2010年に取りまとめた『地域生活インフラを支える流通のあり方研究会報告書』によると、過疎化が進んだ「農村部」と、かつてのニュータウンなどがある「都市郊外」という2つの地域を中心に、60歳以上の「高齢買い物弱者」は全国に600万人程度存在するとされる。

 2015年に公表された『買物弱者・フードデザート問題等の現状及び今後の対策のあり方に関する調査報告書』(経済産業省)でも、高齢の買い物弱者数は約700万人と推計され、5年前より100万人も増加した。

 その背景として、単純に60歳以上の高齢者人口が増加しているだけでなく、日常の買い物に不便を感じている高齢者の割合が、若干ながら高まっていることがあるだろう。人口減少に伴う商店街の衰退やスーパーの撤退など、自宅近くで買い物をする場所そのものが少なくなっている事情がうかがわれる。

 では、そこにコンビニが1つあればどうだろう。コンビニは日常の買い物だけではなく、預金の出し入れから、マイナンバーを用いた行政手続き、さらには防犯や防災、雇用まで、私たちに数多くの生活機能を提供してくれる。特に世界に先駆けて“超高齢化社会”に突入する日本においては、生活のあらゆる場面で“近くて便利な”コンビニが、その課題解決に貢献する可能性が高い。

 しかし、そもそも自宅から歩いて行けるくらいの距離にコンビニがなければ、いかに便利であろうと活用することはできない。「クルマがあれば」とは言うものの、高齢化とともに運転は難しくなるだろうし、現実として高齢者ドライバーが起こすトラブルのニュースが流れることも少なくない。

 そのような社会的背景もあり、筆者は徒歩によるコンビニへのアクセスに不便を感じる人々、特に高齢者を、買い物弱者・買い物難民ならぬ“コンビニ難民”と呼んでいる。

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竹本遼太 [三井住友トラスト基礎研究所 副主任研究員]

1981年生まれ。京都府出身。東京大学工学部卒業、東京大学大学院情報理工学系研究科修了(数理情報学専攻)。2006年野村證券入社。研究員・クオンツアナリスト・エコノミストとして債券市場や日本経済に関する調査研究に従事し、12年三井住友トラスト基礎研究所に入社。現在、副主任研究員として「都市と不動産」に関する調査研究業務を行う


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