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実践ミャンマー進出戦略立案マニュアル
【第8回】 2016年4月15日
著者・コラム紹介バックナンバー
杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役],行方國雄 [TMI総合法律事務所ヤンゴンオフィス代表]

ミャンマー進出・成功する現地パートナーの見つけ方

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まるで勝手のわからない海外の国で事業展開を行う際の成功の秘訣は、現地で良いパートナーをみつけることだ。海外進出において語り尽くされた言葉の裏に、どれだけ多くの企業が、現地パートナー相手との関係で痛い目にあったことだろう。今回は成功する現地パートナーの見つけ方、特にパートナー候補の検討・リストアップ・スクリーニングについて考えたい。

成功する合弁、3つの特徴

 パートナー候補を検討する際に、どのような相手であれば、よりよい関係を構築できでかつ長続きするのだろうか。多くのケースを見ていると、少なくとも下記の3点が重要な要素のようだ。

成功する合弁の特徴
●基本的な目的・価値観が同じであること
●お互いが補完関係にあること
●お互いの強みがかぶらないこと

 一点目の「基本的な目的・価値観が同じであること」は比較的わかりやすい。会社として目指す点が同じかどうか、信頼できる相手か、こだわるポイントが似ているか。特にオーナー企業の場合は、トップ同士の考え方が似ているか、相性はどうか。こうしたことは、人間関係を長続きさせる場合において重要なように、企業間の関係においても重要だ。特に、言葉や慣習が異なるクロスボーダーの提携において、こうした価値観で結びつけるかどうかが、「言葉を超えた」関係の構築において重要になる。
 二点目の「お互いが補完関係にあること」も比較的わかりやすい。そもそも、合弁は自分の弱いところを現地企業の強みで補完するために行うことが大きな目的だ。従って、相手が当方の弱い点について、サポートしうる強みを持っていることが重要だ。反対に、相手にとっても、日系企業ならではの強みを期待して合弁を行いたいと考える。従って、それが技術力や、日本ブランドや、マネジメント力といった、相手にとってアピールになりうる強みをしっかり持っていることが前提になる。
 三点目は、「お互いの強みがかぶらないこと」だ。これはどういうことだろうか。もし合弁が成功裏に進んだ場合、両社は「どうせ成功するなら、この事業を自社だけでやれれば、分け前を相手に渡さなくてもいいのに」と思いだす。持ち分比率の制限がある外資系企業側は、そうは思っても、これ以上持ち分比率を上げられないため、仕方なく現地企業との合弁で事業展開を続けざるを得ないだろう。一方で現地企業側は、特段そうした制限もないため、やろうと思えば自社のみで展開を始めてしまう。当然、こうしたことが起きないように、合弁解消後は一定期間、その類似する事業はできないような縛りを合弁契約に入れるのが一般的だが、新興国の多くでそれが守られずに現地企業が勝手に動き出すケースが散見される。
 これが、お互いの強みとなる分野が重なっている場合は、相手側は自社のみで合弁事業を行うことができると思いがちだ。一方で、お互いの強みがかぶらず、補完関係がしっかり成り立っていれば、「相手も自社のみで始めたいだろうが、日本側のパートナーがいてこの事業は成り立つ」となる。従って自社のみで事業展開を行うインセンティブは低くなるだろう。従って、より強みがかぶらないほうが、長続きする関係になりやすいのだ。

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杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]

すぎた こういち/カリフォルニア大学サンタバーバラ校物理学及び生物学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済学修士課程卒。15年間にわたり複数の外資系投資銀行にて、海外進出戦略立案サポートや、M&Aアドバイザリーをはじめとするコーポレートファイナンス業務に携わる。2000年から2009年まで、UBS証券会社投資銀行本部M&Aアドバイザリーチームに在籍し、数多くのM&A案件においてアドバイザーを務める。また、2009年から2012年まで、米系投資銀行のフーリハン・ローキーにて、在日副代表を務める傍ら東南アジアにおけるM&Aアドバイザリー業務に従事。2012年に、東南アジアでのM&Aアドバイザリー及び業界調査を主要業務とする株式会社アジア戦略アドバイザリーを創業。よりリスク度の高い東南アジア案件において、質の高いアドバイザリーサービスの提供を目指してASEAN各国での案件を遂行中。特に、現地の主要財閥との直接の関係を生かし、日系企業と現地企業間の資本・業務提携をサポートしている。ミャンマーにおいては、大手事業会社、総合商社、金融機関等の進出戦略立案及びその実行サポートに携わる一方で、2012年よりダイヤモンド・オンライン(Diamond Online)にて、3年間にわたり人気コラム『ミャンマー その投資ブームは本物か』『海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線』を連載。

行方國雄(なめかた・くにお) [TMI総合法律事務所ヤンゴンオフィス代表]

弁護士/ニューヨーク州弁護士/TMI総合法律事務所 パートナー/TMI総合法律事務所ヤンゴンオフィス代表。東京大学法学部卒。ミシガン大学ロースクール(LLM)卒。東京大学法科大学院客員教授(2007年4月~2010年3月) 主な取り扱い分野としては、一般企業法務、M&A、株式公開支援、海外進出支援、国際訴訟・仲裁等がある。2012年10月に、日本の法律事務所としては初めてミャンマーにオフィスを開設し、その代表を務め現在に至る。2013年7月より、経済産業省及び日本貿易振興機構(JETRO)が実施する「中小企業海外展開現地支援プラットフォーム事業」の現地支援プラットフォーム・コーディネーターも務めている。 ミャンマー法に関連した論文としては、以下のようなものがある。 2016年1月「緊急特別レポート 重要法令草案などに見るミャンマー法務の現在と将来」(The Lawyers) 2014年6月「2013年度ミャンマー連邦共和国法制度調査報告書」(法務省) 2014年6月「アジア諸国における商号の保護(その2)」(知財管理) 2014年5月「ミャンマー新経済特区法の概要」(旬刊商事法務) 2014年2月「債権回収に関するアジア各国の法制度」(金融法務事情) 2013年10月「ミャンマーにおけるM&A」(MARR)


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