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岸博幸の政策ウォッチ

高市総務相「電波停止」論議が平行線を辿るワケ

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第31回】 2016年4月15日
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話題になった高市総務相「電波停止」発言。賛否が広がる背景には、法解釈や放送行政といった問題がある

 2月に高市早苗総務大臣が放送法違反を理由に放送局に停波を命じる可能性があることに言及してから、2ヵ月が経ちました。

 その間に、著名ジャーナリストや法律学者が強硬な反対意見を表明する一方で、一部の知識人は“放送法遵守を求める視聴者の会”(以下「視聴者の会」と略す)を組織し、放送局は放送法を遵守しろと声高に叫んでいます。ただ、お互いに強硬な反対意見か賛成意見を主張するのみで、まだ議論が十分に深まっているとは言えません。

 実のところ私は、軽い気持ちから視聴者の会の賛同者に一時期名前を載せて様々な方からお叱りを受け、その後よく考えて賛同者から名前を外したら今度は別方面からお叱りを受けました。そこで、今回はなぜそういう行動を取ったかという弁解も含めつつ、高市発言をきっかけとした騒動を良い結果につなげるために考えるべき論点を整理してみたいと思います。

なぜ正反対の主張が生まれているか
放送法第4条を巡る議論

 多くの方がご存じのように、高市大臣が言及した放送法違反は放送法第4条を巡るものです。この規定のうち、特に第2号の“政治的に公平であること”を守っていない番組が多いのでは、というのが停波発言のベースにあります。

放送法第4条
放送事業者は、国内放送等の放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるところによらなければならない。
1 公安及び善良な風俗を害しないこと
2 政治的に公平であること
3 報道は事実を曲げないですること
4 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること

 これを受け、かいつまんで言えば、反対派が“何が公平公正な報道か判断するのはマスメディア自身と受け手の国民であり、そこに政府の介入を許しては民主主義は守れない”と主張するのに対して、視聴者の会などの賛成派は“高市発言は法律の建て付けを説明した当然の内容なので、放送局は政治的公平性を守れ”と主張しています。

 このように双方が正反対の主張をしているのですが、そうなってしまう最大の原因は、放送法第4条の位置づけについての解釈の違いにあります。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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小泉政権時代に竹中平蔵氏の秘書官を務め、数々の構造改革を立案・実行した岸博幸氏がテレビや新聞が決して報じない知られざる政治の裏側を暴きます。

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