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安東泰志の真・金融立国論

物価を上げるのは国民さえ同意すれば、じつは簡単だ

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第68回】 2016年4月18日
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日銀の黒田総裁の登場と共に実施された「異次元緩和」が4年目を迎えた

 当初2年で2%の物価上昇を目指すと高らかに宣言したものの、その達成は3年経っても見通せない。今年2月には、従来の量的緩和に加えてマイナス金利の導入を行なったが、市場は消化しきれずにいる状態だ。

 しかし、単に物価上昇を実現するだけであれば、実は非常に簡単な方法がある。ただし、それは極めて危険な道でもある。

力不足だった日銀の異次元緩和
GDPの成長率も低迷

◆図表1:国債の保有者内訳(2015年12月時点)

出所:日銀HP
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 日銀は2013年4月、長期国債を年間約50兆円買い入れることを軸とする大規模な金融緩和に踏み出した。その規模は2014年10月に80兆円に増額されており、今や日銀の国債購入額は331兆円となり、国債全体の32%もの残高に達している(図表1)。

◆図表2:物価上昇率推移

出所:総務省HP

 しかし、当初「2年で2%」としていた物価目標の達成は4年目を迎える現在も視界不良であり、食料とエネルギー価格を調整したベースでさえ1%程度に留まる(図表2)。

◆図表3:経済成長率推移

出所:時事ドットコムニュース

 そして、GDPの成長率もこの1年間は低迷を続けている(図表3)。14年4月の消費増税が原因だとする説があるが、それから時間が経ってもなお消費が低迷していることから、消費増税だけにその原因があるとは言えまい。

 要するに、日銀の金融緩和だけでは景気を浮揚させることは困難であり、したがって物価の上昇も限定的だったことがわかる。

 そして年初来の世界市場の動揺もあり、日銀は2月にマイナス金利政策を導入したが、マイナス金利政策は国債を買い入れる量的緩和政策との相性が悪く、また、国民の間で評価が分かれる結果となっている(連載第66回)。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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