中国でイベント集客低迷、海外旅行で消費者の目が肥える2008年の北京五輪、2010年の上海万博(写真)の成功が、中国でのイベントブームに火をつけた

 巨大な市場となりつつある中国は、ある意味、大型イベント天国のような存在だ。この間、雑貨の町として知られる浙江省の義烏を訪れたとき、同市の商業局長が雑談の中で、同市では年間100以上の大型イベントを開催していると教えてくれた。まるで市全体がイベントホールと化したようなものだ。

 大型イベントで消費に刺激を与え、町を興すという認識は地方政府の役人にも、企業の経営者にも深く刷り込まれている。景気が低迷しているこの頃、なおさらこうしたイベント路線に走ってしまう傾向がどこの町にも見られる。

 中国での大型イベントの成功例といえば、2008年の北京五輪と2010年の上海万博だろう。集客数、メディアでの露出の頻度、海外への情報発信力、実際の経済効果など、そのどれをとっても大成功と評価していいだろう。

 こうした成功例を目の当たりにした中国の地方政府は自然と、わが町にもとイベントの誘致に力を入れる。よく誘致されるイベントの一つは「中国国際園林博覧会」と称するものだ。

 1997年にできたものだが、中国の国土交通省に相当する建設部と地方政府との共同主催によるイベントだ。ガーデニングの分野では中国国内最高レベルのイベントを自称している。通常の開催期間は6ヵ月に及び、数百万人もの集客力が主催地の貿易、旅行、環境と景観の改善に大きく寄与している、といわれる。これまで10回も開催したという実績をもっている。以下はその開催都市、開催年だ。

 大連(1997)、南京(1998)、上海(2000)、広州(2001)、深セン(2004)、厦門(2007)、済南(2009)、重慶(2011)、北京豊台(2013)、武漢(2015)。

 地方との共催というよりも、実質的な運営はすべて地方に任せられており、イベントの名称は、現在まさに開催中の「中国(武漢)国際園林博覧会」といったような表示方法が取られている。

 中国(武漢)国際園林博覧会の会期は2015年9月25日~2016年5月28日で、213ヘクタールにもおよぶ広大な会場に、地元の武漢市政府は大きな集客期待をかけている。イベントのテナントを募集する資料では、平日の来場者数はのべ5万~6万9300人で、休日などの日には、最大の来場者がのべ17万5000人~25万人。全来場者数はのべ1200~1800万人と予測されている。