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はじめての問題解決力トレーニング
【第1回】 2016年5月12日
著者・コラム紹介バックナンバー
斎藤 顕一,竹内 さと子

普通のビジネスパーソンが問題解決に取り組む
本当の値打ちはどこにあるか

マッキンゼーの人材育成責任者として実践し、BBT大学の講座で人気の著者が、普通のビジネスパーソン向けに書いた『はじめての問題解決力トレーニング』から、エッセンスを紹介していく連載です。本書の企画は、著者が受講者から聞いたある一言から始まりました。

 大学院のスクーリングの時に、ある女子学生から次のような質問をされました。

 「先生!問題解決のためには本質的な問題の発見が重要なことはわかりました。本質的な問題の発見には、情報収集や分析、それらの作業の結果として見つかった“事実”を整理統合してまとめ上げることが重要なこともわかります。

 ただ、わたしはいままで一度も情報を収集した経験がないので、どのようなデータがどこにあるのかさえわかりません。どう行動すればいいのでしょうか?

 情報収集を当たり前の活動と考えていたわたしにとっては衝撃的で、予想もしていない質問でした。

 ご存じない方のために説明すると、BBTはeラーニングの大学で、わたしは企業のコンサルティングを行うかたわら、そこの教授も務めています。普段はインターネットを介して授業を行うので、働きながら学ぶ人も多い学生に会うのはスクーリングなどの特別な機会のみです。

 教務課の担当者からは事前に、「学生がつまずくのは情報収集のセクションからです」と聞いてはいました。ただ、情報を収集して分析するというプロセスは、問題解決を行ううえでは必ず通り抜けなければならない道であり、まずは基本に忠実に進めてもらうしかない。面倒ではあっても、少し我慢してその部分を乗り越えてもらおう ─ そう考えていました。

 そこに、冒頭の質問が飛んできたのです。彼女のおかげでわたしは、自分の講座があくまでプロのアナリストやコンサルタントを育てることを目的にしたものであることに、初めて気づかされました。

 わたしが18 年前に最初に問題解決の考え方をまとめた時は、教える相手はコンサルティング会社のメンバーや企業の経営企画部などに属する、いわば“考える部門の専門職”が中心でした。したがって内容は、前職のコンサルティング会社で新人採用と教育を行っていた時の経験にもとづくもので、情報収集や分析は当たり前のものとして存在し、それをレベルアップすることを目的としていました。

 その時はそれでよかったわけで、企業の経営者や変革を主導する経営企画部員などの、高度な考え方を求める人たちを対象に、高い目標を持つプロフェッショナルを育成してきたことが、間違っていたとはもちろん思いません。

 BBTの学生の修了レポートや卒業研究の中に、“コンサルティング会社のプロ並みのアウトプット”が増えてきたのは驚きであり、本当にうれしいことだと思っています。

 しかし、多くの企業や組織の状況を見ていると、いま企業や組織に必要なのはコンサルタントや経営企画メンバーなどの問題解決を本業とする専門職ではなく、現場、すなわち実践の場で自分なりに問題を理解して、自ら積極的に問題解決に取り組む人たちであることがわかります。

 企業や組織が本当に変わるためには、プロフェッショナルではなく、そのような実践するアマチュアにこそ、問題解決の考え方を知ってもらう価値は高いとわたしは思います。

(次回は、5月18日に公開の予定です)

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