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「トランプ大統領」は是か非か?
激突するカリフォルニア州民の主張

長野美穂
2016年5月11日
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あのトランプがやって来た!
カリフォルニアの騒然を現地ルポ

最大の票田であるカリフォルニア予備選で勝利すべく、4月末に演説のため現地入りしたトランプ。トランプ派と反トランプ派が繰り広げた前代未聞の暴動の模様から、トランプ大統領誕生の可能性を占う
Photo by Keiko Hitomi

 日本が大型連休に突入した4月29日、カリフォルニア州に米国大統領選共和党予備選挙の候補者、ドナルド・トランプがやって来た。同じ週にペンシルバニアなど5州で大勝利を収めたトランプは、全米最大の票田であるカリフォルニアでの選挙戦を開始したのだった。

 この日の段階では、まだ共和党の対立候補であるテッド・クルーズは撤退しておらず、トランプにとって6月7日のカリフォルニア予備選で勝ち星を挙げることが、党指名を獲得するための「必要絶対条件」だった。

 トランプが選んだ演説会場は、オレンジ郡コスタメサ地区のフェア・グラウンドにある野外劇場だ。1万人は軽く収容できる。

 オレンジ郡は通称「OC」と呼ばれ、保守派の拠点の1つだ。ロサンゼルス(以下LA)のリベラル派からは「オレンジカーテンの向こう側にはLAとは別の世界が広がっている」と形容される土地柄だ。

 たとえば筆者は、以前このフェア・グラウンドで開かれた「ガン・ショー」を取材したことがあるが、LAの人間がOCに対して抱く「銃と共和党と見渡す限りの住宅地」というステレオタイプのイメージが、一体どこから来たのかを、そのガン・ショーの現場で目の当たりにした記憶がある。

 早速トランプ陣営に講演取材のプレスパスを申請するも、「多くの報道機関からの取材が殺到している」という理由で却下された。たまたま記者仲間が無料の一般チケットを譲ってくれたので、それをスマホにダウンロードし、大渋滞のなか、LAから車でコスタメサに向かうことにした。

 「今からトランプの講演会を取材に行くけど、一緒にカープール(相乗り)して行く?」と、ジャーナリズム学部の同窓生にテキストメッセージを送ると、「危険だから行きたくない。特に黒人である自分は、トランプ支持者から何をされるかわからないから」という返事が返ってきた。

 ハッとした。

 過去のトランプ集会で、黒人やイスラム教徒の参加者が場内のトランプ支持者から囲まれ、ヒスパニック系のジャーナリストが追い出された例があった。また、ディズニーランドのあるアナハイムでは、トランプ派と反トランプ派がもみ合いになり、ペッパースプレー(催涙スプレー)が噴射される事件があったばかりだった。

 講演会場の中に入れたとしても、周囲からジャーナリストだとわかってしまってはまずいかもしれない。そこで、「リポーター・ノートブック」と大きくロゴが入った使い慣れたノートは持っていかず、無地のノートを鞄に入れた。さらに、ペッパースプレー攻撃を想定して、コンタクトレンズではなく眼鏡で行くことにした。

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長野美穂(ながの・みほ)/東京の出版社で雑誌編集記者として働いた後、渡米。ミシガン州の地元米新聞社でインターン記者として働き、中絶問題の記事でミシガン・プレス・アソシエーションのフィーチャー記事賞を受賞した。その後独立し、ネイティブ・アメリカンの取材などに没頭。ボストン大学大学院を経て、イリノイ州のノースウェスタン大大学院でジャーナリズムを専攻。カリフォルニア州ロサンゼルスの米新聞社での記者を務め、フリーランスジャーナリストとして活動している


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