やってしまったことを思うと、断酒なんて大したことじゃない

前園真聖氏が語る「あの失敗があったから、いまの自分がある」「これをし続けていると、意味がある。そうわかっているから、自分で自分をコントロールできる、というか。」

 経沢 そういえば、いまもお酒を断ち続けていらっしゃるんですよね?本には事件後、お酒を1滴も飲まなくなった、と書かれていました。

前園 はい。もう一生飲まないでおこう、と思っているほどです。

経沢 私の本で「幸せを掴み取れる人は、依存を断ち切れる人。」という章があるんです。

前園 読みました。

経沢 そこでは、やめようと決心するのは簡単だけど、決心し続けるのはとても難しいことだと書いています。たとえば、ダイエットもそうですよね。頭では理解している「食べすぎるのをやめよう」ということを、意志の力でどうコントロールし続けているのか。前園さんはどうですか?

前園 意識してコントロールしている、という感覚はないかもしれません。ぼくの場合は、これまでの経験の中で、自然と強い意志が養われてきたのかな、と思います。現役時代の話をすると、すぐに結果を求めたくても、当然叶わないわけです。でも、遊ぶのをやめて練習し続けていると、その先にいいことが待っているんじゃないか、と信じる。そこで不運なことが起きたとしても、次こそは何かいいことがあるんじゃないか、と信じる。ぼくはそう思って目の前のことに取り組むタイプです。

経沢 遊ぶのをやめ続けて、代わりに練習をし続けてきた、ということですよね。ただ、お酒って周りから誘われませんか?

前園 はい、誘われます。でも、自分がやってしまったことを考えると、お酒を完全にやめるなんて全然大したことではない、とぼくは思うんですよ。

経沢 前園さんと同じ状況で先輩や目上の方から誘われた場合、謹慎期間もとうに終えていたら、お酒を解禁しちゃう方も少なくないと思います。その意志の強さをどう磨かれたのか、本当に興味があって、この話題を振りました。

前園 でも、経沢さんも、十分強い意志をお持ちですよね(笑)。

経沢 たしかに、私も強いほうだと思います(笑)。

前園 でしょう。たとえばぼくの場合、練習で体を動かすのは、自分のためにやっているわけで。

経沢 自分自身が「意味がある」と思うことはできますね。

前園 そうです。これをし続けていると、意味がある。そうわかっているから、自分で自分をコントロールできる、というか。