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トヨタの自工程完結 ウェブ版
【第13回】 2016年5月18日
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佐々木眞一

ムダな会議は、必ず減らせる!

トヨタの自工程完結のメリット4~6

『トヨタの自工程完結』の考え方でオフィスの仕事を変えていくと、どんなメリットが得られるのか。今回は、私たちの考える4~5番目をご紹介します。

[メリット1] 部分最適がなくなる
[メリット2] 上司が進捗確認できるタイミングを作れる
[メリット3] 上下左右のコミュニケーションが深まる
[メリット4] 各部署の固有の強みを最大限に活かせる
[メリット5] 部門内の情報共有が進む
[メリット6] 会議が減る
[メリット7] 理不尽なところが見える
[メリット8] 失敗が減り、妥協がなくなる
[メリット9] 生産性が上がる
[メリット10] モチベーションが上がる

[メリット4] 各部署の固有の強みを最大限に活かせる

 それぞれの部署には、そこだけが持っている「固有技術」とも言える独特の強みのようなものがある、と私は思っています。ところが、その固有の強みが本当に、適正に活かされているか。

 例えば、ある製品市場に関する知識がずば抜けて豊富な人材がいるのに、出てきたアウトプットとしての売上向上のプランは、焦点が定まらずいまひとつ、というようなケースはままあります。また、設計のベテランがたくさんいる部署がこんなに時間をかけたのに、この程度のものしか出てこないのか、というケースもあります。

 問題は、「プロセス/手順」にあるのだと思います。固有の強みが活かせるようなプロセスになっていないのです。

 新しい仕事の考え方を使うと、これが変わる。しっかりと仕事の「プロセス/手順」を洗い出していけば、固有の強みを適正に活かせていないことに気づくからです。

 気づいたら、「プロセス/手順」をゼロベースで見直して、新たに組み直せばいいのです。そこで固有の強みを活かす方法が見つけられる。結果として、固有の強みを最大限に活かせる組織になります。

[メリット5] 部門内の情報共有が進む

 部門間の情報共有に問題があると思っていましたが、とりわけオフィスでは、部門内の情報共有にも大きな問題があると思いました。

 仕事を属人的にしてしまっているケースが多々あったのです。この人がやればうまくいく、という仕事がたくさんあった。しかし、新しい人が来ると手間暇ばかりかかって、どうにもならない。

 結局、先輩の背中を見て仕事を覚えろ、といったことになります。昔は時間がありましたから、それでもよかったのかもしれませんが、今そんな悠長なことを言っていたら、あっという間にマーケットに置いていかれます。スピード感でまったく追いつかなくなる危険性があるのです。

 うがった見方をすると、ほかの人にはできないようにしているのではないか、とすら思ってしまったこともあります。余人に代えられない、自分にしかできない。そんなふうにして、自己の存在価値をアピールしているのではないか、と。

 しかし、それでは生産性を上げるという意味から言えば困るのです。異動や退職だけが問題なのではありません。風邪で休んだらどうするのか。産休など、長期で休みを取ったときにはどうするのか。そういうときに、周囲は困ってしまうのです。

 そして、属人的になっていたら、実は、カイゼンが進みません。ほかの人の知見が得られず、こうしたほうがいい、というコミュニケーションが深まらないからです。

 新しい仕事の進め方を使えば、こうはなりません。文書でマニュアルに落とし込み、結果の「振り返り」をしてアップデートしていくのです。こうすることで、誰にでもできるようになる。知見が集まることになる。仕事のレベルも上がる。

 これまで手取り足取り教えなければいけなかったものがなくなり、生産性が上がります。新しく入った人でもマニュアルから学べるので、周囲に迷惑をかけることもない。だからモチベーションアップにもつながるのです。

[メリット6] 会議が減る

 オフィスでは特にそうだと思いますが、最も生産性を下げているのは、もしかしたらこれかもしれません。会議です。

 会議という名前を付ければ、仕事をやっているような気になりますが、本当にこれは必要なのかと思える会議が、たくさんありました。実際に聞いてみると、「調整のために必要だ」と言う。

 こうした会議は、それこそ「自工程完結」の考え方を用いることで一気になくなります。なぜなら、部門内でも部門間でも情報共有が進むからです。「プロセス/手順」が部門間で共有されていれば、それこそ調整会議などいらない。ましてや対策会議なんて、問題が起きる前からやるのはおかしい。そこで、調整会議ゼロ、対策会議ゼロを宣言しました。

 実際にはゼロは難しいと思います。しかし、「自工程完結」の考え方を用いれば、極限まで減らしていくことができます。

 それこそ何かのプロジェクトを部門横断でやるときは、最も大きな課題になるのは、スケジュールをどうするかということと、「判断基準」「必要なもの」をしっかり共有することです。この二つさえしっかりできていれば、何度も何度も定期的に会議などする必要はないのです。

 もとより会議は、出席者の生産性を下げるだけではありません。会議のための資料を作ったり、議事録を書いたり、周辺業務としても多くの仕事を発生させるのです。会議があるから残業もあるケースも多い。会議が減れば、残業も減るのです。なのに「とりあえず会議」がいかに多いか。

 「自工程完結」の考え方を使えば、会議は間違いなく減ります。必要最小限になるのです。

(次回は、5月25日公開予定です)

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佐々木眞一 [トヨタ自動車株式会社 顧問・技監]

1970年3月 北海道大学工学部機械工学科 卒業
1970年4月 トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社
1990年4月 トヨタ モーター マニュファクチャリング UK 株式会社 品質管理部長
1995年1月 トヨタ自動車株式会社 堤工場 品質管理部部長
2001年6月 取締役就任
2003年6月 常務役員就任
2004年6月 トヨタモーターエンジニアリング・マニュファクチャリングヨーロッパ株式会社 取締役社長
2005年6月 専務取締役就任
2005年10月 トヨタモーターヨーロッパ株式会社 取締役社長
2009年6月 取締役副社長就任
2013年6月 相談役・技監就任
2015年11月 著書『現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結』上梓
2016年7月 顧問・技監就任


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