最近、副業を認める会社が増えてきた。ただ、多くの会社はまだ試行期間に入ったばかりで、この制度変更が個人と組織にどのような結果を生み出すかについて、明確なビジョンはないようだ。私自身は、かつて個人のプロフェッショナルの独立を支援するNPOを設立し、現在も顧問として関わっていることから、多くの方の副業の実態や、副業から「複業」化する姿を見てきた。そこで、現段階における経験的な実感をお話ししてみたいと思う。
まず基本スタンスだが、私自身は、副業に賛成だ。なぜなら、会社員の副業(とくに小さい仕事をすること)にはたくさんのメリットがあると考えているからである。
副業を経験して得られる5つのメリット
1、本業に良い影響が生まれる
特に分業化が進んだ大企業に勤める人は、小さい仕事で業務の“全体に関わる”ことにより、学ぶことが多いだろう。個々の仕事が集まって最終的な顧客への価値につながるまでの在り様を直接感じることによって、個と全体のバランスを見る習慣ができる。それ以外にも、単純に“よそ”や、“別の”やり方や、“別の価値観”を知る非常に良い経験になり、本業にも好効果が生まれる。
2、お金をもらう大変さがわかる
「わかってるよ」という人もいるとは思うが、自分で仕事をフィニッシュさせてはじめてお金がもらえる。適当にやってもどうにかなる」「誰かが何とかしてくれる」ということがない。会議に適当に出ておけばOKというわけでもない。丁寧な仕事をして、きちんと成果を出して、はじめて仕事をしたといえるのだ。報酬のみならず、仕事がもらえるという、ありがたみを改めて感じられるいい機会になるだろう。
3、個人の力が試せる
信用やネームバリューが通用しない状態で、どこまでできるのか。自分の名前だけで勝負するのは、多くのサラリーマンにとって初めての経験になる。初任給をもらえたときに幸せを感じるのと同様に、初めての副業で数万円をもらえたことが人生での大きな喜びになったという人は多い。社会から個人としての存在価値を認められたような思いになるらしい。