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元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学

政治も環境問題も、いまこそグランドデザインを!
目先のマニフェストよりも大事なこと

――「総論」なくして、「各論」なし

見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]
【第24回】 2010年8月31日
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 今年の夏を総括すると、猛暑日・熱中症のニュースと民主党代表選挙の動向に気を取られていたら、円高・株安の加速で経済情勢の悪化が懸念される事態となっていた、という感じかと思います。この状況は9月になってもなかなか変わりそうにありません。

 民主党代表選挙はさておき、猛暑日・熱中症に加え、円高・株安という“有事”には、環境問題を語ることさえはばかられる気がします。環境の議論は、どうも有事には不向きなようです。

わかっちゃいるけどやめられない
「消費の先食い型」の環境政策

 そんな中、遅ればせながら、政府は30日の夕方、追加経済対策の基本方針を決定しました。この中で「環境」の項目は、住宅・家電エコポイント制度の延長というかたちでしっかりと盛り込まれていました。“有事”に不向きなはずの「環境」ですが、なぜか“有事”にも頼られてしまう。本当に「環境」とは、掴みどころのない不思議なものです。

 しかし、追加経済対策においても、消費先食い型の政策に頼らざるを得ない状況は、相変わらずです。

 経済情勢は、多面的な要因で常に変化していることから、政策が後手にまわるほど、場当たり的な対応にならざるを得なくなります。その結果、仮に一定期間での経済効果はある程度認められたとしても、自律的な経済的基盤を構築するまでには至らないものです。

 こうしたことはここで述べるまでもなく、皆が頭の中では理解していることですが、「背に腹は代えられない」という有事の状況下では、「(利益の先食いと)わかっちゃいるけど、やめられない」という思考停止に陥ってしまいがちです。

 有事に環境のことを語ることがはばかられるのは、猛暑日にエアコンに頼らざるをえないという、「意識と行動との矛盾」が大きな理由としてまず挙げられます。また、経済状況の悪化が懸念される中で、環境を語ることがはばかれるのは、「経済最優先で、環境のことを考えているヒマがない」という、経済面における環境への期待度の低さを象徴するものといえるでしょう。

 これらはいずれも、環境問題に対する「理想と現実とのギャップ」に由来するものです。

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見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]

1967年生まれ、埼玉県出身。90年立教大学法学部を卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。05年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修了(MBA)。同年10月に三井住友銀行を退職し、Mr.Childrenの桜井和寿等が設立したNPOバンク(ap bank)に理事として参画。09年2月に株式会社フィールド・デザイン・ネットワークスを設立し、代表取締役に就任。企業や金融機関に対する戦略・企画コンサルティングを行う。専門は、循環型(環境)ビジネス、ソーシャルビジネス、BOPビジネス及びファイナンス。立教大学AIIC「立教グラミン・クリエイティブラボ」副所長。多摩大学経営情報学部非常勤講師。
☆ご意見・お問合わせはこちら  ☆Twitterアカウント:ken_miyama


元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学

ちまたにあふれる環境ニュースやキーワードの数々。近年のエコブームで「地球にやさしい」というところで思考停止してしまい、その本質を理解できていない人は意外と多い。当連載では、国やメディアに先導されたままの環境キーワードを取り上げ、「論理」と「感性」の両方を満たす、真の環境リテラシーについて考える。

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