「私を“かかりつけ薬剤師”に選んでいただけませんか?」
最近、調剤薬局で、こんな言葉をかけられたことはないだろうか。
これは、今年4月の医療費の改定で、「かかりつけ薬剤師指導料」という薬局の報酬が新設されたからだ。いわば薬剤師の指名料のようなもので、おくすり手帳に関する料金の変更とともに、関係者の間では「今年の改定の目玉」といわれていた。
だが、この「かかりつけ薬剤師指導料」をめぐって、現場ではちょっとした混乱が起きている。
通常より100円高くなる
かかりつけ薬剤師指導料
団塊の世代が75歳以上になる2025年に向け、国は在宅療養の充実に力を注いでいる。これまで、病院を中心に行われていた医療や療養を、自宅や介護施設など病院以外の場所でも受けられるように、地域全体で患者を診ていくネットワークを作るように促している。
病院以外の自宅や施設でも安心して療養できるようにするためには、調剤薬局で働く薬剤師にもその専門性を発揮してもらい、健康管理の支援にあたってもらう必要が出てくる。
そこで、今回の調剤報酬改定では、医師と連携して患者が飲んでいる薬を一括して管理したり、時には医師に対しても、薬剤師からみた適切な薬の処方を提案したりする能力のある薬剤師に対して、「かかりつけ薬剤師指導料」という特別な料金をつけることにした。
調剤薬局を利用すると、通常は「薬剤服用歴管理指導料」という薬学管理料がかかる。薬剤服用歴管理指導料は、薬剤情報提供書の作成、薬歴の作成、おくすり手帳への情報記載、残薬の確認、後発医薬品の推進、という5項目すべてを行った場合に調剤薬局が得られる報酬だ。
「かかりつけ薬剤師指導料」は、薬剤服用歴管理指導料に代わるもので、上記の5項目に加えて、次の要件を満たした場合に得られる報酬だ。
1.患者が選んだ薬剤師が、患者の同意を得たうえで、同意を得た次の来局以降に算定できる。
2.患者の署名つきの同意書を作成・保管し、その旨を薬歴に記載する。