民主党の代表選は菅vs小沢となりました。党内の権力闘争の最終決戦とも言える構図となり、メディアにはたまらない展開でしょうが、経済政策の観点からどちらが勝つのが望ましいかとなると、的を射た報道は多くないように思えます。そこで、今週はこの点について考えたいと思います。
マクロ経済運営の観点からの比較
経済政策について菅・小沢の両者を比較する場合、二つの観点から考えることが必要ではないでしょうか。一つは経済と財政の運営のバランスが取れているかというマクロ経済運営の観点、もう一つは政策立案のプロセスが正しいかという観点です。
まずマクロ経済運営のスタンスについて両者の主張を比べると、菅総理は経済よりも財政を重視しているように思えます。昨日の共同記者会見では、最初に「雇用が第一」と言ってはいますが、政策的には財政再建・消費税増税の方が強調されているからです。
これは、菅総理には短期の経済運営の視点が欠如していることを示しています。財政再建は短期の経済成長に悪影響を及ぼします。デフレを解消できないまま消費税増税をすれば、デフレがさらに悪化します。つまり、菅総理のスタンスだと、少なくとも短期的には低成長とデフレの継続を覚悟しないといけなくなるのです。
その中で雇用については、当面は政府が失業者にカネをあげて急場を凌ぎ、中長期には成長戦略に期待するというスタンスであり、経済を成長させて民間が雇用を増やすという発想には乏しいように見受けられます。
小沢氏は短期の経済運営を重視しているように思えます。それは、2兆円規模の補正予算や公共事業などによる地方経済の活性化に言及していることからも明らかです。一方で、小沢氏の中長期の経済成長や財政再建についての方向性は、09年マニフェストの完全実施、政府のムダ削減となるようです。