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ビッグデータで解明!「物件選び」の新常識

バブル気味の不動産価格がなぜか弾けない「5つの理由」

沖有人 [スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント]
【第23回】 2016年6月9日
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多くの関係者は不動産価格の高騰を不安視している。しかし、その見立ては正しくないかもしれない。バブル気味の不動産価格がなぜか弾けない「5つの理由」を考えよう。

 「イノベーターは常に常識を疑う」

 『イノベーションのジレンマ』の著者、クレイトン・クリステンセンの言葉である。不動産に関わる大多数の人が、不動産価格の高騰を不安視している。そんな人は「リーマンショックのように下げ局面がいつか来る。その際には買いたい」とも言う。これは今やステレオタイプの言い分になってきた。素人が半ば「したり顔」で言っているのを見ると、「待てよ、そんなイージーなはずがない」と考え始めることになる。次なる局面は意外な展開になるかもしれない。そんな可能性を検討してみよう。

 投資家は利回りで相場感を把握している。借入れ金利が下がると、利回りが低くても購入意欲が湧く。「利回り-金利」のギャップが大きくなれば、投資機会があると考えられるからだ。この価格が不動産へのお金の流れと連動することははっきりしている。

 筆者がよく使っている以下のグラフを基礎編として紹介しよう。不動産を購入するときは借り入れを伴うことが常だ。借り入れが以前よりもたくさんできるということは、バランスシート(貸借対照表)上資産はインフレすることになるから、当たり前と言えば当たり前の話である。

◆図表1:賃貸マンション取引価格と金融緩和の関係

(出典)日本不動産研究所、日本銀行よりスタイルアクト作成 拡大画像表示

 

意外に下がっていない
リーマンショック後の不動産価格

 リーマンショック前後で不動産が下げたことは、確かに事実である。では、どの程度下げたか過去の市場価格の変化を検証しておこう。まず、自宅購入者を対象にして、新築マンションと中古マンションの価格インデックス(下記グラフ)を使おう。これは株でいう日経平均やTOPIXのようなものだ。インデックスは物件価格を物件の立地によって品質補正をしているので、単純平均よりも正確な動きを表しており、四半期単位に算出している。

◆図表2:首都圏新築・中古マンション価格指数

(出典)住まいサーフィン 拡大画像表示

 リーマンショック後、新築価格は1年(4回の四半期)にわたって下げているが、その下げ幅は6%に過ぎない。その後1年は横ばいで推移している。この横ばいの期間も不動産の仕入れに当たる土地価格は下落し続けていた。それなのに、販売価格が下がらないのには理由がある。新築マンションを供給するデベロッパーの多くが倒産し、塩漬けになる案件が続出、新規供給が以前と比較して3分の1ほどに減ってしまったからだ。

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沖有人(おき・ゆうじん) [スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント]

1988年、慶應義塾大学経済学部卒業後、2社を経て、1998年、現スタイルアクト株式会社を設立。マンション購入・売却者向けの「住まいサーフィン」は17万人以上の会員を擁する。「タワーマンション節税」などの不動産を使った節税の実践コンサルティングに定評があり、不動産分野でのベストセラー作家として講演・寄稿・取材・テレビ出演多数。主な著書に『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書、2012年)、『マンションを今すぐ買いなさい』(ダイヤモンド社、2013年)、『タワーマンション節税! 相続対策は東京の不動産でやりなさい』(朝日新書、2014年)など。


ビッグデータで解明!「物件選び」の新常識

不動産は個人資産の半分を占めるにもかかわらず、プロとの情報格差が大きい。この情報格差を少しでも解消できれば、個人はもっと多角的な視点から「よい物件」を選ぶことができ、将来を見据えた資産形成が可能となる。「自宅投資」「資産インフレ予測」「タワーマンション節税」などをメディアで提唱し、新たなムーブメントを起こしてきたスタイルアクト株式会社の沖有人代表取締役が、これまで蓄積した「不動産ビッグデータ」を基に、住宅の選び方に関する「新しい常識」を徹底指南する。スタイルアクトが自宅を投資になぞらえて情報提供している「住まいサーフィン」では、17万人の会員のうち、自宅査定ツールで7割が含み益を出していることから、資産形成した人数は12万人相当と想定される。株や投資信託のように学習することで、プロ顔負けの資産形成ができる手法はある。沖社長が次に提示する不動産の秘策は、これまで同様「早い者勝ち」となるかもしれない。

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