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英国のEU残留は楽観できない、離脱なら世界恐慌の懸念も

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第432回】 2016年6月14日
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最近の世論調査を見れば
予断を許さない状況だ

英国がEUを離脱したらどうなるか

 6月23日、英国のEU離脱=Brexit(ブレグジット)を問う国民投票が実施される。投票が近づく中、各種世論調査などを見ると、EU残留派と離脱派がほぼ拮抗している。

 一時、英国民はEUに残留によるメリットを評価し、「離脱は選択しない」との見方が有力だった。しかし、最近の世論調査の結果を見る限り、その見方は楽観過ぎるかもしれない。ロンドンのアナリスト連中に聞いても、予断を許さない状況だという。

 金融市場では、大手投資家が英国のEU離脱のリスクに備えて、ポンド関連のオペレーションを控えるなどの影響が出始めている。実際に英国の離脱が現実のものになると、そのインパクトは計り知れない。影響はEU域内にとどまらず、世界全体の政治、経済、金融市場に無視できない大波となるだろう。

 足元の世界経済を概括すると、米国の景気回復が世界経済を支えてきたものの、その米国経済の先行きにもやや陰りが出始めている。そうした状況下、英国のEU離脱をきっかけに世界の金融市場が混乱すれば、世界の経済が大きな低迷に陥りかねない。

 やや荒唐無稽だが、もし英国がEUを離脱することになった場合、具体的に、どのような影響が発生するか、(1)金融市場への影響、(2)英国離脱がEUに与える影響、そして、(3)世界経済へのリスクの3つの視点からシミュレーションしてみる。

短期の視点では
ポンドや英国株の急落

 足元の英国の世論調査を見ると、EUへの残留賛成派、離脱派は見事に拮抗している。調査の時期などによって結果にはばらつきも見えるが、EU離脱を支持する割合が残留支持を上回るケースも目立っている。

 特に、離脱派としては、キャメロン首相のライバルであるボリス・ジョンソン前ロンドン市長が離脱を説いていることが重要とみられる。そうした動きが、当初、想定していたよりも英国のEU離脱が実現する可能性を高めているといえるだろう。

 仮にEU離脱が選択された場合、どのような影響が金融市場に及ぶのかを考えてみる。一般的に、英国のEU離脱が、ポンドや英国株を急落させ、世界の金融市場が一斉にリスク回避に向かう“リスクオフ”につながるとの見方が多い。それは、短期の視点に基づいた予測といえる。

 ただ、国民投票で離脱が多数になっても、離脱のプロセスはすぐに進むわけではない。国民投票で離脱決定後、2年間はEUのルールが英国に適用される。そのため、短期的な混乱の後、どう市場が動くかも十分に考える必要がある。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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