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トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ
【第10回】 2016年6月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
林要 [GROOVE X代表取締役]

「不満が多い人」のほうが仕事ができる理由
Pepper元開発リーダーが明かす「0」から「1」を生み出す思考法

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不満が多い人──。普通、こういう人はネガティブな評価を受けます。しかし、Pepper元開発リーダーの林要さんは、「不満を感じることを否定してはならない」と断言。むしろ、不満を感じるセンサーが敏感な人のほうが、イノベーティブな仕事で結果を出せると言います。それは、なぜか?林さんの著作『ゼロイチ』から抜粋してご紹介します。

 

「不満」は重要なサインである

 不満が多い人──。
 普通、こういう人はネガティブな評価を受けます。
 たしかに、何をやっても不満ばかりを言う人と一緒にいるのはイヤなものですし、仕事に対して不満ばかり口にする人で、目覚ましい成果を上げた人も見たことがありません。不満を常に口にしているのは、自分にネガティブなおまじないをかけ続けているようなものだからでしょう。

 しかし、だからと言って、不満を感じることそのものを否定すべきではありません。そもそも、世の中には、「合理的に考えて、不満をもって当たり前だよね?」ということはしばしばあります。そんな「合理的な不満」を抑え込むのは精神衛生上よくありません。むしろ、僕は、そんな不満を多く感じられる人ほどゼロイチには向いていると思うのです。

 なぜなら、「不満を感じる」ということは、世の中に対して「違和感」を感じるセンサーが鋭敏な証拠だからです。感性が鋭い、とも言えます。「何かが足りない」とか、「何か余分なものがある」とか、とにかく不合理的で不便だったり、その場に相応しくないことがあるからこそ、僕たちは不満や違和感を感じるわけです。であれば、その「何か」を最適な形にすればいい。そして、不満や違和感を解消することができたとき、それをゼロイチと言うのです。
 つまり、不満や違和感は、ゼロイチの重要なサインなのです。

 だから、僕は、日常生活のなかで感じる不満や違和感を大切にしています。たとえば、財布。僕は、どういうわけか財布が分厚くなるのがイヤで仕方がない。お金がたくさん入っていて厚いならまだ自分をなだめることもできますが、そういうわけではないのにカードやら何やらであっという間に財布が分厚くなってしまいます。重たくなるし、ズボンのポケット入れると不格好になる。それに、キーケースと財布の両方を持つのも面倒くさい。

 最悪なのは、財布をなくしたとき。銀行、カード会社、運転免許証……。四方八方に連絡をして、ウンザリするほど面倒くさい手続きをしなければならない。だから、財布を手にするたびに、心のなかでブツブツ不満を言っていたわけです。

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林要(はやし・かなめ) [GROOVE X代表取締役]

林 要(はやし・かなめ) 1973 年愛知県生まれ。東京都立科学技術大学(現・首都大学東京)に進学し、航空部で「ものづくり」と「空を飛ぶこと」に魅せられる。当時、躍進めざましいソフトバンクの採用試験を受けるも不採用。 東京都立科学技術大学大学院修士課程修了後トヨタに入社し、同社初のスーパーカー「レクサスLFA」の開発プロジェクトを経て、トヨタF1 の開発スタッフに抜擢され渡欧。「ゼロイチ」のアイデアでチームの入賞に貢献する。帰国後、トヨタ本社で量販車開発のマネジメントを担当した際に、社内の多様な部門間の調整をしながら、プロジェクトを前に進めるリーダーシップの重要性を痛感。そのころスタートした孫正義氏の後継者育成機関である「ソフトバンクアカデミア」に参加し、孫氏自身からリーダーシップをたたき込まれる。 その後、孫氏の「人と心を通わせる人型ロボットを普及させる」という強い信念に共感。2012 年、人型ロボットの市販化というゼロイチに挑戦すべくソフトバンクに入社、開発リーダーとして活躍。開発したPepper は、2015 年6 月に一般発売されると毎月1000 台が即完売する人気を博し、ロボットブームの発端となった。 同年9 月、独立のためにソフトバンクを退社。同年11 月にロボット・ベンチャー「GROOVE X」を設立。新世代の家庭向けロボットを実現するため、新たなゼロイチへの挑戦を開始した。


トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ

「0」から 「1」を生み出す力を日本企業は失っているのではないか? そんな指摘が盛んにされています。一方、多くのビジネスパーソンが、「ゼロイチを実現したい が、どうしたらいいのか?」と悩んでいらっしゃいます。そこで、トヨタで数々のゼロイチにかかわった後、孫正義氏から誘われて「Pepper」の開発リー ダーを務めた林要さんに、『ゼロイチ』という書籍をまとめていただきました。その一部をご紹介しながら、「会社のなかで“新しいコト”を実現するために意 識すべきエッセンス」を考えてまいります。

「トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ」

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