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在英邦銀マンに聞く英国の“視界不良”

三菱東京UFJ銀行経済調査室ロンドン駐在・高山真

週刊ダイヤモンド編集部
2016年7月5日
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現地英国にいる日本人は今回の離脱という結果をどのように感じ、先行きをどう見通しているのか。三菱東京UFJ銀行勤務で現在はロンドンに駐在する高山氏の寄稿から読み解きたい。

 6月23日に英国で行われた、欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票は、離脱支持51.9%、残留支持48.1%という結果となり、EUからの離脱が選択された。

 投票結果が明らかになった翌24日の雰囲気を、筆者の感じたままに述べれば「驚き」と「気まずさ」だろう。

 まず「驚き」について言葉を補うと、事前の世論調査では、離脱と残留の支持率はほぼ拮抗、離脱優勢の調査結果も少なくなかったが、最終的には残留による現状維持が選択されるとの読みが支配的だった。

 2014年に行われたスコットランドの独立についての住民投票や15年の総選挙も接戦・混戦ではあったが、結果は現状維持(独立、政権交代の回避)という穏当な結果に終わった経験も影響していたように思える。

 離脱派の旗手、英国独立党(UKIP)のファラージ党首でさえ、投票締め切り直後は「残留派が僅差で勝利したもようだ」とコメントしていた。それだけに、離脱支持多数という結果は、残留派だけでなく離脱派にも衝撃をもって受け止められたようだ。

英国民に気まずさ

ロンドンでは、EU離脱に反対する市民が集まった(6月28日撮影)。Photo:REX FEATURES/アフロ

 また、国論を文字通り二分した今回の国民投票は、英国民の間に深い分断の傷痕を残したといわれている。そうした見立ては一面を言い当てていると思うが、筆者の感じるところはいま少し複雑であり、一種の「気まずさ」を含んでいるように見える。

 離脱に票を投じた有権者にとっては望む結果となったわけだが、彼らの家族・友人・同僚などには残留に投じた人々も当然存在している。そうした人々の落胆や憤慨に思い至らないほど、勝利に酔いしれている離脱支持者は多くはないようだ。

 英国人といえば政治好きのイメージがあり、スコットランドの住民投票や昨年の総選挙の際は、投票日翌日に感想を述べ合う姿があちこちで見受けられた。しかし今回は、投票結果を受けて政治談議に花を咲かせる雰囲気は感じられない。ランチを食べに入ったレストランで、隣の席の客2人がEU離脱を話題にしていたが、半分愚痴交じりの湿っぽい空気が漂っていた。

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