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長内 厚のエレキの深層

「ポケモンGO」大ヒットに見る、ソニーが敵わない任天堂の強み

長内 厚 [早稲田大学商学学術院大学院経営管理研究科教授/早稲田大学台湾研究所研究員・同IT戦略研究所研究員/ハーバード大学GSAS客員研究員]
【第12回】 2016年7月19日
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任天堂が発売したスマホ向けゲーム「ポケモンGo」が米国で大ヒットしている。勝因は同社の「持たない強み」にある Photo:ANP Photo/AFLO

「ポケモンGO」大ヒットのなぜ
任天堂の「持たざる強み」とは?

 初のスマホ向けゲーム「Miitomo」をDeNAと共同開発した任天堂だが、この度それに続いて「Pokemon Go」(以下、「ポケモンGO」と記述)をリリースした。Googleから独立し、Ingressといういわゆる「位置ゲー」(GPSにより現在地を登録することで遊ぶゲーム)をヒットさせたナイアンティックと組んだゲームだ。

 この「ポケモンGO」が予想以上に注目されている。公開数日にして米国で大ヒットとなり、任天堂の株価もうなぎ登りに上がった。

 筆者は以前、他メディアへの寄稿で「『持たない強み』が任天堂の強さの神髄」であると述べた(日経ビジネスオンライン「任天堂とDeNA、提携の成否を握る『持たない強み』」)。「ポケモンGO」のヒットについても、ポケモンという強いIPを持っていると同時に、「持たない強み」が冴えたのではないかと考える。

 任天堂はゲームコンテンツを開発するメーカーであると同時に、ゲーム機というゲームのプラットフォームも提供している会社である。Wii Uや3DSなど、コンソール(据え置き型ゲーム機)、ポータブルゲーム機の双方を自社のプラットフォームとして有している。

 こうした自社の技術資産がある場合、特に「技術による差異化が全て」と思いがちな日本企業ほど、自社のプラットフォームにしがみつく傾向がある。ソニーが良い例であろう。

 ソニーは、初代PS(プレイステーション)、PS2のグラフィック技術で、顧客に驚きの映像というゲームの新しい価値を提供した成功体験と技術蓄積を持っていた。しかし、グラフィック性能という軸での価値の進化に顧客は飽きを感じ始め、PS3は戦艦大和の大艦巨砲主義のような超ハイスペックメカになってしまった。そのためソフトウエアメーカーが離れ、エンドユーザーも離れた。

 その後同社はPS4で自前主義を捨て、汎用のアーキテクチャをベースにハードウエアを開発。ソフトウエアメーカーにとっての開発のしやすさとコンソールとしての性能のバランスを取り、欧米を中心にソニーの大きな収益源となるビジネスに成長させた。

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長内 厚 [早稲田大学商学学術院大学院経営管理研究科教授/早稲田大学台湾研究所研究員・同IT戦略研究所研究員/ハーバード大学GSAS客員研究員]

京都大学大学院修了・博士(経済学)。1997年ソニー株式会社入社後、映像関連機器部門で商品企画、技術企画、事業本部長付商品戦略担当、ソニーユニバーシティ研究生などを歴任。その後、神戸大学経済経営研究所准教授を経て2011年より早稲田大学ビジネススクール准教授。2016年より現職。早稲田大学IT戦略研究所研究員・早稲田大学台湾研究所研究員を兼務。組織学会評議員(広報委員会担当)、ハウス食品グループ本社株式会社中央研究所顧問、(財)交流協会貿易経済部日台ビジネスアライアンス委員。(長内研究室ホームページ:www.f.waseda.jp/osanaia/

 


長内 厚のエレキの深層

グローバル競争や異業種参入が激化するなか、従来の日本型モノづくりに限界が見え始めたエレキ産業は、今まさに岐路に立たされている。同じエレキ企業であっても、ビジネスモデルの違いによって、経営面で大きな明暗が分かれるケースも見られる。日本のエレキ産業は新たな時代を生き延び、再び世界の頂点を目指すことができるのか。電機業界分析の第一人者である著者が、毎回旬のテーマを解説しながら、独自の視点から「エレキの深層」に迫る。

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