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スマホの次はIoTとサーバ
王者インテルを脅かす

 スマートフォンを操作するだけで、駐車場の空きスペースが簡単に見つかる。ARMのサイモン・シガースCEOが住む米サンフランシスコでは、こんな光景が日常になっている。

 ARMは約半年前、IoT事業部を新規に立ち上げた。IoTとは「Internet of Things:モノのインターネット」を指す注目のキーワード。冒頭の事例も、駐車場にセンサーが埋め込まれ、情報がネットを介して伝わることで実現されている。あらゆる“モノ”がネットにつながるIoT市場でも、スマホに続き覇権を狙う。

 「かつてはパワフルな処理能力を持つパソコンしかネットに接続できなかった。だが、いまや街中のあらゆるものが簡単にネットにつながる時代になった」と語るのはIoTビジネスユニットEVPのジョン・コーニッシュ氏である。鍵となるのはセンサーと無線通信機能を併せ持つ半導体だ。

 工場や発電所の設備からヒトの健康状態まで、街や家庭のあらゆるデータを取得して集約するIoTは「多くの新製品のアイデアを生むエキサイティングな領域だ」(コーニッシュ氏)。市場も急成長すると見込んでおり、2017年は半導体の個数にして230億個に達すると予測。IoT向け半導体用のプログラムをウェブサイト上で簡単に開発できる環境を整備し、技術者の囲い込みを狙う。

 一方、半導体の王者インテルも、指をくわえて見ているわけにはいかない。20年に500億台もの機器がネットに接続されると予測するインテルは、「クオーク」と名付けた低消費電力に特化した半導体を開発した。

 データ分析やセキュリティといったインテルの強みが生かせる製造業、自動車産業、小売業をIoTの重点領域に掲げ、インテルIoTソリューションズ事業本部長のダグ・デイビス氏は「ARM陣営も一枚岩ではない。パワーも消費電力もクオークの競争力で対抗できる」と対抗意識を燃やす。