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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

三菱自動車、第1四半期決算から読み解く「生き残り」の行方

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第35回】 2016年7月29日
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注目された2016年度第1四半期の決算内容から、三菱自動車の「生き残り」の可能性を探ってみよう Photo:AFLO

4-6月期決算から読み解く
三菱自・日産連合資本提携の行方

 燃費不正から一気に電撃提携へ。この4月、突然のごとく軽自動車の燃費データ改ざんという不正が明るみに出た三菱自動車工業。「またもか!」と思ったのは筆者だけではないだろう。三菱自動車は2000年初頭に二度のリコール隠し事件を起こし、当時の社長の逮捕にまで至った苦い経験をしている。今回で三度目となる不祥事の発覚だからこそ、三菱自動車の存亡が問われたのである。

 三菱自動車が生き残るため、迅速に動いたのが、リコール隠し事件後三菱グループ主要各社の支援で再建を託され、その道のりを進めてきた三菱商事出身の益子修会長(当時)だった。ゴールデンウィーク中も水面下で日産首脳と交渉し、連休明けの5月12日、日産・三菱自の資本業務提携会見という電光石火の資本提携に結びつけたのだ。

 それは、日産が2370億円を三菱自に出資し、34%の株式を握って筆頭株主になるという、事実上の日産グループ入りである。益子三菱自トップの要請を受ける形となったゴーン日産のしたたかな経営戦略も、世間や業界をあっと言わせるものとなった。

 三菱自は日産の傘下で再生の道を進めることになった。三菱自が生き残るために日産の力を借りる一方、日産はアセアン戦略や国内の軽自動車戦略において、三菱自の力を活用する。三菱自を活用できれば、日産はルノーも合わせたグローバル1000万台体制に近づき、ビッグ3(トヨタ、VW、GM)に迫る勢力になる。燃費不正発覚による株価急落局面での三菱自への出資も、絶好のタイミングだった。

 三菱自の生き残りのために何としても日産の力を借りたい益子三菱自トップと、ゴーン日産の思惑が一致しての電撃資本提携であるが、実際には10月に予定される第三者割当増資を日産が引き受け、払い込みが完了してからが本格的なスタートとなるわけだ。これに先立つ27日、三菱自と日産の両社は4-6月期の連結決算業績を発表した。

 両社の今期がスタートした2016年4-6月期(第1四半期)の決算内容から、三菱自動車の生き残り策の行方を探ってみよう。

 まずは、三菱自動車工業の4-6月期連結決算だが、27日の決算説明会には池谷光司新副社長が初登場した。三菱自は、日産との資本提携後の暫定体制として、会長兼社長となった益子氏のもと、日産から山下光彦氏(開発)、三菱商事から白地浩三氏(グローバル事業)、三菱東京UFJ銀行から池谷光司氏(財務・経理)の3人が副社長に就任(6月24日付け)。池谷新副社長は銀行出身者として財務・経理を統括し、今回の第1四半期決算発表がお披露目となったわけである。また、同席した黒井義博専務経営企画本部長、野田浩専務経理本部長も並んで、新体制移行後初の決算会見となった。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

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