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インバウンドはここからが勝負
「訪日リピーター」をどうやって育てるか

――「爆買い」から「体験」へつなぐデータ戦略

工藤卓哉 [アクセンチュア]
【第16回】 2016年9月15日
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爆買い終了で
訪日旅行のニーズに変化

 「爆買い」や「インバウンド」など、訪日外国人を巡る話題がメディアを賑わせています。

 日本政府観光局の調べによると、2015年の訪日外国人数の数は、対前年比47%増の1973万人となり、2020年までに2000万人という当初の目標を5年も前倒しで達成するなど、その勢いは止まることをしりません。

 ビザ要件の緩和や消費税免税制度の拡充、為替の円安、日本に乗り入れる格安航空会社の増便などの後押しもあり、2016年に入ってもその勢いは衰えず、6月5日時点ですでに1000万人を突破。過去最速のペースで推移しています。

 今後も右肩上がりで訪日客が増加するかどうかは、為替や景気の変動にも左右されるのため楽観することはできませんが、政府は2020年までに現在の2倍の4000万人、30年には3倍の6000万人に増やす目標を新たに定め、訪日客の増加を成長戦略の柱として確かなものにしたい考えです。

 もう少し、2015年の実績数字を見ていきましょう。

 訪日外国人が国内で消費した金額は、前年から71.5%も増加し、2015年には過去最高の3兆4771億円。1人あたりの支出に直すと17万6168円と16.5%増えた計算になります。

 その中心的役割を果たしてきたのが、訪日客の約40%を占める中国人観光客の「爆買い」でした。都市部にお住まいの方なら、一度は量販店でやドラッグストアなどで、家電や日用品を大量に購入する観光客の姿をご覧になったことがあるかもしれません。

 しかし、これまで訪日客の主流だった富裕層に加え、中間層や庶民層が来日するケースが増えていることもあり、以前と比較して旅行中に支出する金額は下落傾向にあります。また、台湾や香港のように、訪日客の約8割がリピーターという国も増えており、新しい観光体験を求める傾向も強まっています。

 よりリーズナブルで人と違ったユニークな旅行を楽しむことが、これからの訪日旅行のトレンドになりそうです。

 しかし、迎える側であるわれわれの対応は、彼らの変化にまだ追いついていないように思えます。

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工藤卓哉[アクセンチュア]

Accenture Data Science Center of Excellence 北米地域統括 兼
アクセンチュア アナリティクス日本統括 マネジング・ディレクター
慶應義塾大学を卒業しアクセンチュアに入社。コンサルタントとして活躍後、コロンビア大学国際公共政策大学院で学ぶため退職。同大学院で修士号を取得後、ブルームバーグ市長政権下のニューヨーク市で統計ディレクター職を歴任。在任中、カーネギーメロン工科大学情報技術科学大学院で修士号の取得も果たす。2011年にアクセンチュアに復職。 2016年4月より現職。 データサイエンスに関する数多くの著書、寄稿の執筆、講演活動を実施。


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