テクニカルスキルだけでも仕事はできます。実務能力に優れている人は、仕事が早く、売り上げにも貢献し、上司や会社からも重宝され昇進もできます。ところが、そこにヒューマンスキルが備わっていなければ、ある階層から先に上がれなくなるのです。

 多くの人は肩書がついた途端「素の自分」を隠せなくなってしまうものです。テクニカルな側面のコミュニケーション能力を鍛えていれば、お客様や上司には良い顔ができます。しかし部下に対して誠心誠意、敬意をもって接することのできる人は必ずしも多くありません。役員や幹部など、組織において重要な役割を任せられるかどうかは、部下からの評価も加味する企業がほとんどです。いくら仕事ができる人でも、自分中心で、部下をひれ伏させるような態度ばかりとっていると、いざというときに部下に足を引っ張られるようなことが起こってしまうかもしれません。

 経営者の方にはこのヒューマンスキルが優れていると感じさせる方が多くいらっしゃいます。実際に、上場会社、いわゆる「成功している」企業の経営者の方に直接お会いすると、気さくで優しく、思いやりのある方が多くいらっしゃるものです。

 自分自身が起点(リーダー)となって、何か大きなことをやり遂げられるか?

 どんなに素晴らしい能力を持っていても、もしそこに人柄人間性がなく、人を巻き込む力がなければ、誰かが起こした渦(大きな流れ)の中のひとつの要因にしかなれないかもしれません。たとえその人の能力、技術が成功を生んだとしても、周囲の人が必ずしも評価してくれるとは限らないのです。「あの人は自分の手柄にしようとしているよね」と言われるのか、「あの人がいなければこの企画は成功しなかった」と言われるのか…。事実は一つ、解釈は様々。そして多くの場合、人は事実だけをみて判断ができないものではないでしょうか。

思いやりをもって仕事をできているか?

 働くお母さんを例にとってみます。お子さんが突然風邪をひいてしまい会社を休まなくてはならない場合、引き継ぎの準備は十分にできていますか?

 ただ「休むので代わってください」と一方的に頼むのか、必要な書類を揃え、「デスクにある黄色のファイルに必要なことはすべて書いてあります」と頼まれた人の負担にならないように日ごろから準備をしておくのか。この違いは、依頼される人、またその先にいるお客様のことをいかに考えているかによると思います。