次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では追加の量的緩和策(QE2)決定がほぼ必至と見られており、この期待感からこれまで米国のみならず世界的に債券が買われてきた。しかし、ここにきてQE2が将来のインフレにつながるとの見方が債券市場の悪材料となる可能性が出てきている。この点について考えてみたい。
QE2への期待感から米国の債券は買われ10年物国債利回りは一時2.3%台まで低下した。しかし、同じ米国債でも30年債の利回りはまったく異なる動き。8月末までは10年債同様に低下したが、そこから逆に上昇し、4%近辺に達した。その結果、30年債と10年債の利回り格差は1.4%に拡大した。これは手元にデータがある1981年以降で最大だ。
この背景にあるのが将来のインフレへの警戒感だ。もしQE2が成功した場合、将来のインフレ率が高まることになる。これが相対的に期間の短い金利が低下したにもかかわらず、30年債のような長い期間の金利が上昇した原因と解釈することはできよう。