銀行実力番付2025#3Photo:PIXTA

金利上昇により銀行業界の決算は絶好調に見えるが、その裏では債券の含み損や保有株下落で有価証券の評価損益が悪化している。特集『銀行実力番付2025』の#3では、2025年3月期決算を含む直近4年分の財務データを基に、全国103行の運用総合利回りランキングを作成。利回りがマイナスの銀行は、前年の3行から直近では85行へと急増し、好業績の陰で含み損の重荷を抱える銀行が少なくないことも分かった。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

金利上昇と株安が直撃
評価損益が大幅に悪化

 2022年は海外金利の急騰で、多くの銀行が外債の含み損に苦しんだ。この苦い記憶が今、再び銀行業界を襲っている。

 25年3月期決算では、栃木銀行が多額の債券売却損を計上し、223億円の赤字に転落した。含み損が膨らむ債券を損切りすれば、一時的に赤字が際立つことになる。

 しかし、本当の問題は別にある。栃木銀行のように赤字になることを恐れ、含み損を抱えたまま損切りに踏み出せない銀行が少なくないのだ。

 24年は空前の株高により、運用総合利回りがマイナスだった銀行はわずか3行だった。ところが、25年は国内金利の急上昇と株価下落を受け、一転して85行の利回りがマイナスに沈んでいる。

 そこでダイヤモンド編集部は、決算に表れる実現損益だけでなく、評価損益の増減額も加えた総合損益を基に「銀行実力番付2025」の運用総合利回りランキングを作成した。

 対象は、メガバンクを含む都市銀行と地方銀行、第二地方銀行に加え、埼玉りそな銀行とあおぞら銀行の合計103行。財務データは「QUICK Finer Compass」から取得し、得点は単年の変動に左右されないよう、最新決算だけでなく直近4年分の実績で評価した。

 さらに、規模の大きい銀行が有利にならないよう、総合損益の絶対額ではなく、有価証券残高の2期平均で割った運用総合利回りを採用している。そのため、大手行より規模の小さい地銀が上位に食い込む可能性も十分にある。

 果たしてベスト1位に輝いたのはどの銀行か。片や、金利上昇と株価下落により利回りが大幅に悪化したワースト1位は――。次ページで、全国103行の運用総合利回りランキングを公開する。