銀行実力番付2025#1Photo:sakchai vongsasiripat/gettyimages

国内金利の上昇により、銀行間の実力差が鮮明になってきた。本業利益と有価証券運用の両面で好調な銀行がある一方、債券の含み損の拡大や預金流出に直面する銀行も目立つ。特集『銀行実力番付2025』の#1では、全国103行が開示した2025年3月期の最新決算を検証し、「銀行実力番付2025」の総合ランキングを作成。金利上昇時代の実力差を独自の評価軸で明らかにする。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

国内金利上昇の光と影
好業績の裏で含み損が急増

 金利上昇時代の到来は、銀行業界にとって待ちに待った朗報だ。

 長年にわたり本業の収益力をそぎ続けてきた低金利政策がようやく転換し、銀行は本来の金利差で稼ぐビジネスモデルへの回帰を果たしつつある。貸出金利は上昇し、利ざやは着実に拡大。業界には久々の追い風が吹いている。

 5月23日には全国103行の決算が出そろい、全体の84%に当たる87行が増益となった。業界全体として収益環境の改善がはっきりと数字に表れており、長かった“冬の時代”にもひとまず終止符が打たれたように見える。

 だが、その裏では、静かに膨らむリスクが潜んでいる。絶好調に見える決算の陰で、最終利益には表れない債券の含み損が、金利上昇を受けて急拡大しているのだ。

 実際、運用総合利回りがマイナスとなった銀行は、2024年3月期のわずか3行から、25年3月期には85行へと急増した。表面的には好業績に見えても、金利上昇や株価下落の影響で評価損が膨らみ、水面下で痛手を被った銀行も少なくない。

 金利上昇の恩恵とリスクが交錯する状況を踏まえ、ダイヤモンド編集部は銀行の実力を測る「銀行実力番付2025」を作成した。対象はメガバンクと地方銀行、第二地方銀行、埼玉りそな銀行、あおぞら銀行の合計103行で、財務データは「QUICK Finer Compass」から取得した。

 評価指標には「本業利益率」「運用総合利回り」「預金増減率」の3項目を採用。いずれも銀行の規模に左右されないよう、指標は全て“率”で統一し、最新の25年3月期を含む直近4年間の実績を基にスコア化した。単年の浮き沈みだけでなく、持続的な経営基盤を浮き彫りにする設計となっている。

 中でも重視したのが本業利益率だ。企業・個人への貸し出しや法人向けコンサルティング、金融商品の販売など、本業で稼ぐ力に着目し、総合得点100点満点中60点を配点。金利が上昇した24年と25年の得点を2倍にし、金利環境の変化に対応できた銀行をより高く評価した。

 果たしてベスト1位に輝いたのはどの銀行か。そして、金利上昇の追い風を生かせず低迷を続けるワースト1位は?次ページで、全103行の総合ランキングと、金利上昇時代における真の勝ち組・負け組を明らかにする。