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パソコンはオワコン?を覆して
黒字化したVAIO社の生きる道(上)

――長野県安曇野市の最新鋭工場を見る

大河原克行
【第122回】 2016年8月26日
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2014年7月に、ソニーのPC事業が独立して設立されたVAIO株式会社が、事業開始から3年目に入った。初年度は営業赤字だったものの、2年度目にして早くも黒字化を達成。3年度目はさらなる成長を目指す。そして、そのVAIOの成長を支えているのが、長野県安曇野市の安曇野工場だ。本社や開発部門もここに統合。ソニー時代からの資産をそのまま活用し、それが、VAIOがこだわる高い品質と、新たな事業の地盤づくりにつながっている。いま、VAIOはどうなっているのか。生産拠点でもある長野県安曇野市の同社本社を訪れ、VAIOのいまを探った。

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長く生産してきた工場

VAIO本社工場の入り口。当日はあいにくの曇り空だったが、晴れた日は背後に北アルプス連峰が見える

 長野県安曇野市は、長野県中部に位置し、北アルプスの麓に広がる、自然に囲まれた場所だ。

 安曇野市・宮澤宗弘市長は、「川端康成、井上靖、東山魁夷の3人が、『残したい静けさ』と名句を残した地でもあり、北アルプスの山々を流れる水を源流とした湧き水も多く、わさびの栽培でも知られる」と安曇野市のすばらしさを訴える。

 VAIOは、この2年間に渡り、この安曇野の地に根を下ろし、事業を行ってきた。

 VAIOの本社および生産拠点があるのは、ソニー時代からVAIOの生産を行っていたソニーEMCS長野テックが操業していた場所だ。本社入口には、かつてソニーの社長を務め、VAIO事業を統括していた安藤国威氏によって作られた「VAIOの里」の石碑が、いまでも設置されている。

 ソニーEMCS長野テックの前身は、1961年10月に操業した東洋通信工業豊科工場。1974年には、ソニーの100%子会社となり、ソニーのオーディオ機器の生産を開始。1983年以降は、ソニーのMSXパソコンである「Hit-Bit」や8ビットパソコンの「SMC-777」、AX仕様のPC、パームトップコンピュータ「PTC-500」、ワークステーション「NEWS」、ワードプロセッサ「プロデュース」など、ソニーの代表的な情報機器を数多く生産してきた。

本社工場の外観2年前に「SONY」ロゴから「VAIO」ロゴに変更した

 VAIOの生産を開始したのは1997年からだ。2005年にはソニーEMCS木更津テックから、デスクトップPCの生産も移管し、VAIOブランドのPCの生産を長野テックに一本化。さらに、2010年には、VAIO事業本部の設計、開発、生産機能のすべてをここに集約し、名実ともに、VAIOのモノづくり拠点となった。

 そして、2014年7月のVAIO株式会社の設立とともに、同社の本社機能も備える拠点へと生まれ変わったのだ。

 本社で出迎えたVAIOの大田義実社長は、「ここには、設計、製造、品質保証、サービスまで、必要な設備はすべて揃っている」と切り出す。

 安曇野工場には、基板製造ライン、PCの組み立てラインのほか、EMC(電気磁気ノイズ関連試験)サイトをはじめとする各種検査施設、修理やアフターサービスのための機能までが集約されている。

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1965年東京都出身。 IT業界専門紙「BCN(ビジネス・コンピュータ・ニュース)」で編集長を経て、現在フリー。IT業界全般に幅広い取材、執筆活動を展開中。


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