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中国のスマホ決済、急拡大に潜む危うさ

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第214回】 2016年8月26日
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中国人にとって
スマホは「日常の財布」

 中国でスマートフォン(以下スマホ)を使った電子決済サービスが急成長している。8月、中国最大の経済紙『経済参考報』は取引規模について、「年内にも10兆元(約160兆円)」とし、2018年には18兆元(約288兆円)になるだろうと見込みを伝えた。

 スマホを店頭のタブレットにかざして決済する支払い方法は上海でも普及している。上海の陸家嘴金融街に勤務する呉海燕さん(女性、仮名)は、毎朝出社前にコンビニに立ち寄るが、ここで財布は使わない。「朝ごはんの肉まんをレジに持って行ってスマホをかざすだけ」と呉さん。最近は路上の雑貨店でも使えるようになった。

 呉さんが使っているのは「支付宝(アリペイ)」。これはネット通販モールの淘宝網(タオバオ)を運営するアリババ集団が提供する第三者決済サービスだ。ネット通販の決済手段のひとつでもあり、利用登録者は約4.5億人に上る。

 「外資系勤務のホワイトカラーなら何万元(数十万円に相当)もチャージしている」と呉さんが話すように、最近は20~30代を中心としたスマホユーザーの間で、「アリペイ」や「ウィーチャットペイ」などを利用した支払いが当たり前になった。上海市在勤の男性会社員は「食事のときの面倒な割り勘もこれでやりとりするし、子どものお年玉もウィーチャットペイで渡す」という。

 常に手元のスマホをいじっている中国人にとって、スマホはすでに「日常の財布」に置き換えられたといっても過言ではない。

 アリペイが持つのは支払い機能だけにとどまらない。使わない金には利息がつくという“財テク機能”もある。

 呉さんは昨年、自分の銀行口座から預金の一部をアリペイに振り替えた。「1万元を預ければ1日で1元の利息がもらえた」とその当時を振り返る。今では金利も2%台に下がり、当時ほどの恩恵はなくなったものの「それでも銀行の金利よりマシ」と呉さんはこれを利用し続けている。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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