ゆがむ韓国経済、財閥偏重の「疑似資本主義」が迎えた限界韓国の政治が経済の構造的な問題の解決に取り組まない限り、政治スキャンダルを根本から解決することは難しい Photo:AP/AFLO

大統領スキャンダルだけでない
韓国国民の怒り

 韓国は怒りに燃えている。「激しやすい」とも言われる韓国国民の怒りは、朴槿恵(パク・クネ)大統領のスキャンダルに矛先が向かっている。スキャンダルの大元は、大統領の長年の友人である崔順実(チェ・スンシル)との親密すぎる個人的な関係だ。

 崔被告は、長年にわたって朴政権の国政に関与していたことに加えて、崔被告が運営する財団の資金調達などに関して、大統領も共謀して大企業に資金の拠出を強要してきた疑いが強まっている。

 朴大統領は、大統領の側近が起訴され野党が大統領の弾劾を視野に協議を重ねる中でも、依然として強気の姿勢を崩していない。自らの関与を否定し、大統領の座に居座り続けている。そうした行動が、韓国民の多くの反感を一段と燃え上がらせている。

 11月18日の時点で、大統領を支持しないとの回答は90%に達する一方、支持率は3週続けて5%となっている。4週続けて大規模な抗議デモも発生しており、大統領を取り巻く環境は厳しさを増している。

 冷静に考えると、国民の怒りは、単純に大統領のスキャンダルだけが原因ではないだろう。これまで長く蓄積されてきた韓国の経済・社会の構造的な問題に対する不満が、朴大統領のスキャンダルをきっかけに爆発したと見るべきだ。

 第2次世界大戦後、韓国では、サムスンや現代などの財閥=チェボルを中心とする経済構造が出来上がってきた。国は経済発展促進のため主要財閥を支援した。財閥企業は、政府の庇護の下で輸出を中心に収益を獲得するビジネスモデルを整備してきた。