拙著、『知性を磨く』(光文社新書)では、21世紀には、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という7つのレベルの知性を垂直統合した人材が、「21世紀の変革リーダー」として活躍することを述べた。
この第15回の講義では、「技術」に焦点を当て、拙著『仕事の技法』(講談社現代新書)において述べたテーマを取り上げよう。(田坂広志 [田坂塾・塾長、多摩大学大学院教授])

商談や会議後の「5分間」が、圧倒的な差を生む会議や商談が終わった後の5分をどう過ごすかで、仕事力に圧倒的な差がつく

 今回のテーマは、「商談や会議後の『5分間』が、圧倒的な差を生む」。このテーマについて語ろう。

 ビジネスパーソンにとって、会議や会合、商談や交渉を有意義なものにすることは、極めて重要な課題だが、そのビジネスパーソンが、本当に、その会議や会合、商談や交渉を価値あるものにしているか否かは、実は、それが終わった後の「5分間」を見ていると、よく分かる。

 言葉を換えれば、会議や会合、商談や交渉の後の「5分間」を、どう使うかで、そのビジネスパーソンの力量と業績に圧倒的な差がついてしまうのだが、実は、多くのビジネスパーソンは、そのことに気がついていない。

 そして、仮に、そのことに気がついていても、その「5分間」を有効に使う技術や心得、すなわち「仕事の技法」を身につけていない。

 いや、さらに言えば、仮に、その「仕事の技法」を何がしか身につけていても、それを、一つの「習慣」として、日々の会議が会合、商談や交渉において「実践」していない。

 では、その「仕事の技法」とは、何か?