米国で雇用の「2極分化」が顕著になっている。ニューヨーク連銀のエコノミストが今月発表した論文は、米国における業種を、ハイスキル(法律家、コンピュータ開発者、金融業など)、アッパー・ミドルスキル(教師、建設業、保安業など)、ローワー・ミドルスキル(業務補助員、工場従業員、販売、運輸など)、ローワースキル(ビル管理、食品調理など)に分類して、1980年から2010年までの変化を分析している。

 その30年間の雇用者数の増加率は、ハイは100%、アッパー・ミドルは46%、ローワー・ミドルは20%、ローワーは90%だった。その結果、雇用におけるシェアは、ハイが19%から25%へ上昇、アッパー・ミドルは21%で横ばい、ローワー・ミドルは47%から38%へ大幅減少、ローワーは12%から16%へと上昇した。実質賃金上昇率は、ハイが37%、アッパー・ミドルは0%、ローワー・ミドルは7%、ローワーは17%だ。

 このように、中間のミドルスキルの労働者は現在厳しい状況にある。「2極分化」の主因は、IT化による技術革新とグローバリゼーションにある。ニューヨークでは、80年に4人に1人が補助業務(秘書やアシスタントなど)をしていたが、今は15%未満に減った。法律事務所は以前は弁護士1人に秘書を1人雇っていたが、最近は部屋やフロアに1人である。また、製造業の工場やサービス産業の一部業務が、賃金の安い新興国へ「オフショアリング」されてきたことも、米国のミドルスキルの雇用に打撃を与えてきた。